G1・4連勝を達成して今シーズン最も卓越した1頭とされたパディントンの引退が発表された。エイダン・オブライエン調教師はこの馬を「信じられないようなお手本」と称え、"鉄の馬"として広く認められているジャイアンツコーズウェイと比較した。
パディントンは10月21日(土)のクイーンエリザベス2世S(G1 アスコット)で困難な馬場状態に悪戦苦闘して11頭中9着に終わり、優勝馬ビッグロックに35馬身もの差をつけられていた。それでも11月4日(土)にBCマイル(G1 サンタアニタ)でゴドルフィンの2頭、モージとマスターオブザシーズと対戦する予定だった。
しかし熱発と呼吸器感染症により回避を余儀なくされ、馬主のクールモアは彼のレースキャリアに終止符を打つことを決定した。
優秀なパディントン(牡3歳 父シユーニ)は3月下旬から8月上旬にかけて6連勝を成し遂げた。3歳初戦のマドリードH(ネース)を制してから、G1勝利を挙げるまで進化するという異例の道のりを歩んだ。
マドリードHの次にテトラークS(L カラ)を制し、アイルランドで挑んだ最初のクラシック競走、愛2000ギニー(G1)で優勝した。そしてセントジェームスパレスS(G1 ロイヤルアスコット開催)でまばゆい勝利を挙げると、距離をマイルから約2000mに延長して挑んだエクリプスS(G1 サンダウン)でスリリングな戦いを繰り広げ女傑エミリーアップジョンを僅差で破った。
距離をマイルに戻して臨んだサセックスS(G1 グッドウッド)ではひどい馬場状態をものともせず勝利を収めた。シーズン後半は、英インターナショナルS(G1 ヨーク)とクイーンエリザベス2世Sで普段の力を発揮できず計画どおりにいかなかったが、それでも今シーズンのサクセスストーリーの1つを演出した馬として語り継がれるだろう。
オブライエン調教師はこの馬を、2000年に同じく多くのG1に挑んで6勝を挙げたジャイアンツコーズウェイになぞらえたが、"パディントンのほうがスピードはある"と述べ、こう語った。
「かなり特別な馬でないと彼と同じような快挙は達成できないでしょう。その物腰や不屈の精神はジャイアンツコーズウェイとよく似ていましたが、パディントンの方がずっとスピードのある馬でしたね。戦術的なスピードを備えているうえに、さらに急加速することもできたのです。極端な馬場状態をものともせず、信じられないお手本のような馬です。レースに出走するごとに体が強く重くなっていきました。サラブレッドではあまりないことです」。
今後パディントンはスタッドインする予定。種付料は後日発表される。
By David Jennings
(関連記事)海外競馬ニュース 2023年No.30「パディントンは凱旋門賞を狙うのにふさわしい馬か?(アイルランド・フランス)」
[Racing Post 2023年10月27日「Aidan O'Brien hails 'unbelievable specimen' Paddington as star's retirement is announced」]