ジャパンカップ(G1 11月26日 東京)の前、イクイノックス(牡4歳 父キタサンブラック)の国際的評価について日本人が不満を抱いていることは明らかだった。いつもは外交にそつのないJRA(日本中央競馬会)でさえも、「この馬がレーティング129であるのは過小評価だとハンデキャッパーは感じている」と漏らしていた。
それはジャパンカップでイクイノックスが楽々と4馬身差の勝利を決めたときに証明された。ゴール手前の3完歩でクリストフ・ルメール騎手は鞭を使わず手綱を緩めたままだった。この結果をふまえて、12月に開催されるIFHA(国際競馬統括機関連盟)の国際ハンデキャッパー会議でイクイノックスのレーティングが引き上げられることに疑いの余地はない。
国際ハンデキャッパーたちがこんなに長いあいだイクイノックスの真価を見抜くことができなかったのは大いなる疑問である。ドバイシーマクラシック(G1 3月25日 メイダン)でウエストオーバーを3½馬身、モスターダフを7馬身退けて撃沈させたとき、この馬が一頭抜きん出たターフホースであることは明々白々だった。
たとえば、ジム・クロウリー騎手は騙されていなかった。ドバイシーマクラシックのあと、モスターダフの鞍上を務めた彼はイクイノックスが"別のレベルにいる"と断言した。ハンデキャッパーたちが夏のあいだに「ロンジンワールドベストレースホースランキング」でモスターダフのレーティングをイクイノックスのわずか1ポンド差にまでに引き上げたのを見て、クロウリー騎手は困惑したにちがいない。そのあいだもイクイノックスが日本でG1を勝ち続けていたからだ。
なぜそうなったのか?それはハンデキャッパーが答えるべきことだろうが、もっと柔軟性を持たせるべきだろう。欧州では多くのG1競走が少頭数になり果てており、駆け引きに重きを置いているために、最強馬がいつも勝つわけではない。
モスターダフが勝ったプリンスオブウェールズS(G1)は始末に負えないものだった。強力なライバルたちが不調に陥っていたのだ。そして彼は4頭立ての英インターナショナルS(G1)でパディントンを出し抜いて勝利を収めた。当時パディントンは4頭立てのエクリプスS(G1)と5頭立てのサセックスS(G1)を制してレーティングを急上昇させていた。そして気づいたときには、これらの馬が国際ランキングのトップ寸前まで上り詰めていたのだ。まったく狂った話である。
イクイノックスが達成したことは対照的である。彼はすべてG1である直近の6戦を全部制覇しているのだ。出走頭数は15頭・16頭・10頭・17頭・11頭・18頭。作戦勝ちではなく、ただ単に彼が最強馬だったのだ。
日本のミッドディスタンスのターフホースが比類ないほど優れていることははっきりしてきた。そのうちの1頭が海外に遠征し、ドバイでのイクイノックスのように他馬を撃沈させれば、それがほかの馬を評価する基準になるはずだ。
その基準に照らし合わせると、欧州の4頭立てのレースの結果などほとんど不適切である。このような時代の変化の中で、国際ハンデキャッパーたちはレーティングを意義のあるものにしつづけるために、考え方を再構築する必要がある。
By Julian Muscat
[Racing Post 2023年11月27日「European Group 1s are becoming irrelevant on the world stage - and it's mad our best horses were ever rated close to Equinox」]