ウィンスターファームは、屈強な種牡馬スパイツタウン(牡25歳、父ゴーンウェスト)が、加齢による脚部不安のために12月8日(金)に安楽死措置となったことを公表した。
スパイツタウンは、カナダの2歳チャンピオン牝馬、シルケンキャットを母に持つ。この栗毛馬は、ケンタッキー州でアーロン&マリー・ジョーンズ夫妻によって生産され、1999年のキーンランド7月1歳馬セレクトセールでテイラーメイドから200万ドル(約2億9,000万円)で売却された。
その後、16戦10勝、2着2回、3着2回の成績を収め、馬主のユージン&ローラ・メルニク夫妻とトッド・プレッチャー調教師に125万8,256ドル(約1億8,245万円)の賞金をもたらし、エクリプス賞優秀短距離馬に選出された。代表的な勝利は2004年にローンスターパークで行われた総賞金100万ドル(約1億4,500万円)のブリーダーズカップスプリント(G1)で、1¼馬身の差をつけて優勝した。
スパイツタウンは、アルフレッド・G・ヴァンダービルトハンデキャップ、トゥルーノースBCハンデキャップ、チャーチルダウンズハンデキャップのG2を3勝し、ヴォスバーグステークス(G1)では3着に入った。
2000年、2歳時のスパイツタウンはケガの影響で1競走のみの出走だったが、ケガから復帰した3歳時には7戦4勝を収めたその後約2年の休養を経て再復帰し、2001年のアムステルダムステークス2着以来の出走となった2003年のアローワンス競走で優勝し、その年のもう1走ジャイプールハンデキャップでも2着に入った。
スパイツタウンの種牡馬としての影響力はしばらく続くだろう。同馬は、あらゆる馬場や距離でシャルラタン、オリンピアード、ゴールデンチケット、フォースザパス、ロードシャナキルなど、26頭のG1馬を輩出している。
同馬はこれまでにブラックタイプ勝馬138頭、重賞勝馬65頭を輩出し、産駒は1億5,400万ドル以上(約233億円)の賞金を獲得している。スパイツタウンは、自身もブリーダーズカップを制し、さらにBC勝馬を複数頭(牡馬および牝馬、ダートおよび芝)輩出した現役種牡馬3頭うちの1頭である。それらの産駒は、2016年BCダートマイル勝馬のタマークズと、2019年BCジュヴェナイルフィリーズターフ勝馬シェアリングである。
種牡馬として活躍するスパイツタウン産駒は、2023年北米種牡馬ランキング7位のマニングスに代表される。また、ウィンスターファームに繋養されている記録破りの短距離馬ナッシュビルは、2024年に初産駒を迎える。ブルードメアサイアーとしては、スパイツタウンが輩出した451頭の繁殖牝馬が、1,383頭の産駒を送り出している。そのうち、1,011頭73%)がレースへ出走し、698頭(50%)が勝馬となっている。そして68頭のステークス勝馬の頂点には、2021年ブリーダーズカップスプリント勝馬アロハウエストが君臨する。
ウィンスターファームの社長兼CEO兼レーシングマネージャーであるエリオット・ウォルデン氏は、次のように述べている。「スパイツタウンはウィンスターファームの基礎となる馬であり、種牡馬生産牧場としての我が牧場の伝統を確立するのに貢献してくれました。種牡馬マネージャーのラリー・マクギニスと彼のチームは、同馬のことを "スペイティ "と親しみを込めて呼んでいましたが、たくさんの愛情を注いで世話をしてくれたことに感謝したいです。彼らはスパイツタウンが3度の疝痛手術を乗り越えるのを支え、この13年間は一度も疝痛に悩まされずに済みました。彼の産駒はダートそして芝の6ハロン(約1200m)から1¼マイル(2000m)において、いつも根性のある走りを見せてくれました」
「家族同様のスパイツタウンがいなくなってしまって本当に寂しいです。私たちは彼の息子ナッシュビルを我々の牧場で繋養することができて幸運です。スパイツタウンの遺産が彼を通して、そしてまたブルードメアサイアーとしても受け継がれていくことを楽しみにしています」。
長年の種牡馬マネージャーを務めるマクギニス氏は、「私たちはスパイツタウンとこの19年間、共に多くのことを経験してきました。友人がいなくなるのは寂しいことです」。
(1ドル=約145円)
By Racing Post Bloodstock Staff