海外競馬ニュース 2023年03月09日 - No.9 - 4
コタン調教師、ステロイド投与の関与で12ヵ月間の業務停止処分(フランス)[その他]

 チェルトナムフェスティバルで優勝経験のあるダヴィッド・コタン調教師は、フランスギャロ(France Galop)の裁決委員から12ヵ月間の業務停止処分を言い渡された。シャンティイ郊外のラモルレイにある厩舎で管理馬4頭に投与されたステロイド、デキサメタゾン(dexamethasone)の使用に関与していたとされている。

 2022年12月3日に獣医師が行った立入り検査で、管理馬4頭へのデキサメタゾンの注射投与が記された処方箋が発見された

 コタン調教師はデキサメタゾンの休薬期間を誤っていたことを認めた。オルカダ賞(G3 オートゥイユ)で競走中止となったマチルダデュベルレー(Matilda Du Berlais)は、その12日前の10月3日にこの薬物を注射投与されていた。

 デュークチョップ(Duke Chop)の処方箋の日付は、フィノ賞(L オートゥイユ)の施行日である9月13日になっていた。しかしコタン調教師はこのせん馬がフィノ賞で7着となったあとに投与したものだと主張した。

 さらに2頭、パラ(Para)とマダラ(Madara)はデキサメタゾン注射が記された処方箋において誤って対象にされたという嫌疑が掛けられている。コタン調教師は、厩舎長が獣医師に馬名を口頭で伝えたために間違いが生じたと主張している。

 デキサメタゾンは、レースに出走できるようになるまで最低14日間の休薬期間が必要な物質のリストに含まれている。4つの処方箋に記されていた処置はすべて、関節あるいは脊椎のあいだへの注射であり、裁決委員の報告書には"複雑"で獣医師にしか実施できない処置と書かれていた。

 証言の要旨は、この事例のサマリー(15頁)で報告されており、判決文には"パオロ"という名前だけが分かっているイタリア人獣医師について言及されている。

 コタン調教師は反対尋問において、いつも一緒に働いている獣医診療所よりもパオロのほうがずっと安価であると説明していた。さらに"才能があり"、"他の人が見逃す問題を見つけられる"人物だと評した。

 4頭はすべて注射投与後14日以内に出走したレースで失格とされた。コタン調教師は調教師と馬主の両方の立場から14日以内に業務停止処分に対して上訴することができる。それらの制裁はその14日間が終了した時点で開始されるが、上訴された場合は審理が終了するまで施行されることはない。

 フィリップ・コタン調教師の息子であるダヴィッド氏は、のちに2011年チェルトナムゴールドカップ(G1)を優勝することになるロングランと2008-9年にコンビを組んでいたことで注目を集めた元騎手である。フランスの障害競走のリーディングジョッキーに3回輝き、ルビーボール・ジェミックス・ブルードラゴンなどに騎乗して数々の重賞を制した。そして2017年6月に突然27歳で騎手を引退することを発表した。

 彼はすぐに調教師ランキングを駆けのぼった。昨年11月にはジェッシーレゼル(Gessy Raiselle)でモーリスジロワ賞(G1)を制してG1・3勝目を成し遂げている。2021年には約400万ユーロ(約5億8,000万円)の賞金を獲得し、その年の調教師ランキングで3位に入った。

 ダヴィッド・コタン調教師はまた、2020年にイージーズランド(Easysland)がタイガーロールに17馬身差をつけてグレンファークラスチェイス(クロスカントリーチェイス)を制したことで、チェルトナムフェスティバルでの勝利を達成した。ただし、1年後の同じレースで2頭はふたたび対戦して立場は逆転する。

 また2022年1月8日にポー競馬場で管理馬サクレクール(Scare Coeur)が禁止薬物の陽性反応を示したために、コタン調教師には3,000ユーロ(約44万円)の過怠金を科されていた。

By Scott Burton

(1ユーロ=約145円)

[Racing Post 2023年3月6日「French trainer David Cottin facing 12-month ban over case of four horses injected with steroid」]