ステファノ・ケルキ騎手を追悼する式が行われた4月20日、イタリア競馬は記念すべき出来事で大いに沸きあがった。フォルガリア(父デューディリジェンス)がドバイデューティーフリーS(G3、ニューベリー)で勝利し、英国でのキャリアを鮮やかにスタートさせたのだ。
この3歳馬は、ステファノ・ボッティ調教師の管理下で6戦無敗の成績を収め、イタリアで最優秀2歳牝馬に輝いていた。その後、ニューマーケットに拠点を置く弟のマルコ・ボッティ調教師のところへ転厩し、英1000ギニーの前哨戦であるドバイデューティーフリーS(別名フレッドダーリンS)を頭差で制したことで、英国において完璧なデビューを飾った。
この牝馬の次走はロンシャンになると思われ、パディパワー社は5月12日の仏1000ギニー(G1)における同馬の単勝オッズを21倍から13倍に引き下げている。
しかし、フォルガリアの将来計画をめぐる人々の興奮は、レース直後のインタビューでボッティ調教師の妻ルーシーがケルキ騎手に哀悼の意を捧げたことで、ひとまず落ち着いていた。ケルキ騎手の葬儀は、この日、故郷であるサルデーニャ地方のサッサリで執り行われた。
ケルキ騎手は見習い時代に、ボッティ調教師の管理馬で38勝を挙げていた。ボッティ調教師は、レース中の負傷が原因で二週間の療養生活ののち今月初めに亡くなったチェルキ騎手を「家族の一員」と表現していた。
ボッティ調教師夫人は次のように述べた。 「信じられないようなことが起こりましたね。ステファノの両親が見守る中、彼の親友のアンドレア・アッゼニ騎手(イタリア)がシドニーカップ(G1)を制し、フォルガリアは英国での勝利でイタリア競馬に再び活気を与えました。これはとても特別なことで、イタリア競馬にとって素晴らしいことです」。
「マルコはステファノの葬儀に参列しました。ご存じの通り彼の兄がイタリアでこの牝馬を調教していました。関係者全員が、とりわけ厩舎の皆が喜んでいることでしょう。冬は皆にとって厳しい季節ではありますが、このように美しい馬に巡り合えることはいつも嬉しいことですし、彼らは私たちに活力を与えてくれます」。
フォルガリアのドバイデューティーフリーSでの発走は良いものとは言い難く、ゲートから出遅れ、序盤は必死に走っていた。ホリー・ドイル騎手は単勝オッズ6倍のこの馬を後ろに付け、オッズ2.75倍で1番人気に支持されたリリーフラリー(Relief Rally)に並ばせた。英1000ギニーに出走が見込まれているゴスデン厩舎のリーガルジュビリー(Regal Jubilee)とスターミュージック(Star Music)が先頭争いを繰り広げた。
スタンド側のラチから離れて進路を取ったドイル騎手は、残り2ハロンに差し掛かかったところで仕掛けた。リーガルジュビリーも果敢に食らいついたが、フォルガリアが力強く伸び、他馬を先行した。決勝線手前でフォルガリアは勝利に向かって最後の一押しを見せ、今回が2走目となるエルマルカ(Elmalka)も争いに加わったが、フォルガリアを捉えることはできなかった。
有名なスキーリゾートを擁する北イタリアの町と同じ名前を持つこの牝馬は、これで7連勝となった。彼女もさらなる高みに到達することが期待されている。
ボッティ調教師は「イタリア競馬での馬の能力が英国競馬ではどういうものか比べるのはとても難しいですが、彼女はイタリアでもなにも問題はなかったですし、昨年はイタリアでのすべてのレースをかなり簡単に勝っています。入厩以来、私たちを喜ばせてくれていますし、とても素直な馬です。私たちは彼女のことが大好きで、将来はもっといい結果を残してくれることを期待しています」。
「当面の目標は仏1000ギニーで、その後の可能性は無限大です。国際的に活躍できる可能性も秘めていますし、すぐに他所へ売却されるようなことにならないと思っています。彼女は才能が溢れていて、イタリアの最優秀2歳牝馬ですし、今やどの国でも十分に通用することを証明してくれました」。
By James Stevens
[Racing Post 2024年4月20日「'You couldn't write this' - Folgaria strikes for Italy on day of Stefano Cherchi's funeral」]