海外競馬ニュース 2024年06月27日 - No.24 - 2
HISA、馬の予後不良事故についての報告書を発表(アメリカ)[開催・運営]

 HISA(競馬の公正確保と安全に関する統括機関)は6月12日、2024年第1四半期の報告書を発表し、競走との関連が認められた馬の予後不良事故が、2023年1~3月期と比較して38%減少したことを明らかにした。3冠競走シーズンも予後不良事故はなく無事に終了したが、その期間の数字は第2四半期のデータに含まれることとなる。
 HISAは2023年第2四半期のアンチドーピングと規制薬物監視の開始とともに、完全にオンライン化した。馬の安全に関するプログラムは2022年7月1日に開始している。
 上述の通り、2024年第1四半期(1月1日~3月31日)の競走に関連する馬の予後不良事故は、前年同期比で38%減少した。HISAの規則に基づいてレースを実施した競馬場における1,000出走馬あたりの競走関連死亡頭数は、2023年の同時期で1.35頭だったのに対し、本年は0.84頭と改善を見せている。
 今年閉鎖となったアリゾナ州のリリートパーク競馬場を除けば、2023、2024年の各第1四半期はそれぞれ同じ競馬場でレースが行われた。
 これを受け、HISAのCEOであるリサ・ラザルス氏は次のように語った。
 「馬の予後不良事故を減らしていくことは、HISAの中心となる活動です。事故はたとえ1件であっても多すぎるのですが、前進が見られていることは喜ばしいことです。馬の福祉を何よりも優先するため、HISAが業界のパートナーと協力して懸命な努力と献身を続けていることを、心から誇りに思います」。
 「我々は引き続き、HISAの規則をより良いものとし、また競馬をより安全で公正なものとするために、引き続き競馬界からのフィードバックを積極的に求めていきたいと思います。無事故で三冠レースを終えられたことは、私たちの努力の証です。業界全体として、人馬の安全と福祉を前進させ何よりも優先していくという使命を遂行することは、称賛すべきものですし、そうしていくべきでしょう」。
 馬の予後不良事故率を算出し四半期ごとに公表することは、米国競馬において初の試みである。HISAは、競走の条件や事故件数には季節変動が存在すること、競馬の安全性への懸念に対する現行の透明性確保措置は重要であることを認識し、今後もこの報告のペースを維持していく。
 HISAの報告書の中でも重要な点として、下記が挙げられる。

馬の予後不良事故について:
 2024年第1四半期において、競走に関連する馬の予後不良事故は前年同時期と比べ38%減少した。また、同報告書では各競馬場における競走関連の予後不良事故についても言及されている。HISAは、2024年の年間報告書(2025年第1四半期に発表予定)において、通年および四半期毎の調教関連予後不良事故についての集計データと、競馬場単位のデータも提供する予定である。

競馬場の認定:
 2024年3月31日現在、HISAは24の競馬場の認定訪問を終えており、このうち3場(ターフウェイパーク、ローレルパーク、サンランドパーク)は今年の第1四半期に新たに認定された。

関連する人馬の登録:
 3月31日現在、関係者約33,000名、対象となる馬約58,000頭、獣医師約1,000名がHISAの登録下にある。

鞭使用ルールの違反件数:
 2024年第1四半期中、1,000出走馬につき4.74件の鞭使用ルール違反が報告された(前年同時期は4.46件)。

獣医師の治療記録:
 2024年第1四半期中、HISAは1日平均で約5,900件の獣医治療に関する報告を受けた。2022年7月1日の競馬場安全プログラム開始以来、3月31日現在で約250万件の治療記録がHISAポータル上にアップロードされている。

 また、競馬の公正確保・福祉ユニット(Horseracing Integrity & Welfare Unit:HIWU)も、アンチドーピングおよび投薬管理プログラムの指標を詳述した四半期報告書を別途発表予定である。

By Edited Press Release, HISA

[bloodhorse.com 2024年6月12日「HISA Reports Strong First Quarter for Equine Safety」]