フランスの競馬開催には、イギリスおよびアイルランドの挑戦者からすると、大変魅力的なレースがいくつかある。しかし、エトレアム牧場がスポンサーを務めるジャンプラ賞(G1)においては、イオリッツ・メンディザバル騎手の冷静な騎乗のもとで単勝34倍のプシュキン(父スタースパングルドバナー)が勝利を飾って1着から4着までをフランス馬が独占したことで、そのような期待をくじく結果となった。
とりわけ、同じ厩舎のハヴァナシガーがボーバティエを抑えて2着に入ったため、ジャン-クロード・ルジェ調教師のチームにとっては格別な勝利となった。
ルジェ調教師は闘病のため、5月半ばからドーヴィル競馬場に姿を見せていなかった。しかしながら、プシュキンとルジェ調教師の長年の盟友であるメンディザバル騎手が戻ってくるときに沸き上がった温かな声援を耳にすると、フランスでチャンピオントレーナーに君臨する同調教師は、間違いなくこの6年間調教拠点としてきたドーヴィルでこの上なく愛されていると言えるだろう。
プシュキンはスタート直後から、ザンディのスリップストリームに収まった。ジャドモントファームは、フランケルの半弟で一番人気でもあるキックリのペースメーカーとして、ザンディをこのレースに追加登録していた。
そしてこれは、プシュキンにとっては完璧なシナリオだった。彼は残り2ハロン手前で一気に抜け出し、ゴール時には2馬身半の余裕があった。なお、アラン・ジャティエール氏の自家生産馬であるプシュキンも7月4日(木)に28,800ユーロ(約504万円)で追加登録されたのだった。
メンディザバル騎手とルジェ調教師のコンビが初めてグループ1競走を制したのは、アスクフォーザムーンがサンタラリ賞(今年からG2に降格、当時はG1)を勝利した2004年であるが、それから20年が経つ。メンディザバル騎手は、プシュキンがデビュー後勝ち星を積み重ねた南西部において、ルジェ調教師が今でも頼りにしているジョッキーである。
メンディザバル騎手は次のようにコメントした。「今日は決して負けられない重要な日でした。プシュキンが得意とする距離、馬場状態、そして競馬場でしたので、チャンスを逃したくはありませんでした」
「人気馬の隣の枠であることは無視して、ただ彼のことだけを考えて騎乗しました。この馬にはとても自信を持っていたので、彼を道中リラックスさせハッピーな状態に保とうと考えていました。同様に、私が望むように騎乗させてくれるルジェ調教師にも大変な信頼を抱いています」。
プシュキンはジャティエール氏のチョコレート色の服色と緋色のキャップを掲げていた。同氏は、ルジェ調教師の開業当初から彼に馬を預託しており、平地競走において初となるG1制覇を堪能していた。
「G1制覇をこれまで辛抱強く待ち望んできました。そして、今朝、不思議なことに今日がその日かもしれないと感じました」
「イオリッツは美しい騎乗を見せました。騎手が御そうとして格闘してはいけない馬なのです。プシュキンは抑えられるが嫌いでのびのびと走ることを好むのです」
「G1勝利を1つ手に入れましたが、もうひとつ勝ちたいので、一カ月後のモーリスドゲスト賞(G1)でまたここに戻ってきたいと思います。古馬との対戦になりますが、彼はスピードがあります」。
ハヴァナシガーもまた、このレースが次の目標となるだろう。彼は馬の壁の後方に閉じ込められてしまったが、なんとかスミヨン騎手が隙間を見つけてスマートにゴールし、2着となった。
By Scott Burton
1ユーロ=約175円
[Racing Post 2024年7月7日「'Today was D-day and I didn't want to miss' - Ioritz Mendizabal steers 35-1 Puchkine home for Jean-Claude Rouget one-two in Group 1」]