2021年のケンタッキーダービーで優勝取消となったメディーナスピリットを管理していたボブ・バファート調教師および同馬を所有するゼダンレーシングが、ケンタッキー州競馬委員会(KHRC)の裁定に対する上訴を取り下げることが分かった。この裁定では、同レースの後に行われた薬物検査でメディーナスピリットが陽性反応を示したことにより、同馬は失格となり、バファート氏に対しては90日間の管理馬出走停止処分が科されていた。1月22日夜、バファート氏が自らのソーシャルメディアで明らかにした。
上訴取り下げにより、約2年半にも及んだ同事件をめぐる一連の訴訟に終止符が打たれることとなる。問題となったダービーの1週間後、裁決委員会を目前に控えたバファート氏は訴訟手続きを見込んで弁護士を雇い入れた。同氏は裁決委員による当初の処分(メディーナスピリットの失格および出走停止処分)に対し不服申し立てを行ったが、KHRCは同裁定を支持したため、同氏の弁護士はケンタッキー州の巡回裁判所に提訴していた。
また、2023年のケンタッキーダービーまでチャーチルダウンズ社の競馬場での管理馬の出走を禁止するという同社の措置に対しても、2022年にバファート氏は訴訟を起こしたが、ルイビル連邦地裁の判事は同社の禁止措置を行う権利を認める判決を言い渡した。当初、バファート氏は上訴する構えを見せていたが、その後間もなく取りやめている。
バファート氏は声明で、チャーチルダウンズおよび2022年に一部発足したサラブレッド競馬の全国的な規制機関であるHISA(競馬の公正確保と安全に関する統括機関)の双方について言及した。HISAの薬物取締方針は昨年夏に施行された。
同氏はソーシャルメディアへの投稿の中で次のように語った。
「ゼダンレーシングの所有者であるアムル・ゼダン氏と私は、この偉大なスポーツが与えてくれる現在と未来に集中し、前向きに取り組んでいくことが最善であると判断しました」。
「我々の主張と見解に耳を傾け、検討してくださったKHRCおよびチャーチルダウンズ社に感謝するとともに、HISAがこのスポーツに変化と透明性をもたらしたことを喜んでおります」。
2022年春、バファート氏はKHRCによる90日間の管理馬出走停止処分に服した。チャーチルダウンズ社による出走禁止措置については、バファート氏がベルモントSにおける全国放送のインタビューの中で「メディーナスピリットの件に関して、私は何も間違ったことはしていないし、法律にもルールにも反していない」などと発言したことを受け、昨年、2024年まで延長されている。
メディーナスピリットは、2021年のケンタッキーダービー出走後にベタメタゾン(規制対象の副腎皮質ステロイド)の検査陽性となった。当時のKHRCの規則では、レース時に同物質が馬の体内に存在することは認められていなかった。その8か月前にも、同じくバファート氏の管理馬ガミーンがベタメタゾン陽性となり、3着入線したケンタッキーオークスで失格処分となっていた。
By Matt Hegarty
[drf.com 2024年1月22日「Baffert, Zedan drop appeal in Medina Spirit case」]