海外競馬ニュース 2024年08月08日 - No.30 - 3
競馬賭事賦課公社のポール・ダーリン会長、64歳で死去(イギリス)[開催・運営]

 8月2日(金)に急逝した競馬賭事賦課公社(Levy Board 賦課公社)のポール・ダーリン会長に、追悼の意が寄せられた。64歳だった。

 賦課公社は声明の中で、ダーリン氏の「並外れた熱意、エネルギー、そして遊び心」について語り、賭事・ゲーミング協議会(Betting and Gaming Council)は、ダーリン氏について「非常に人気があり、知的で卓越した人物」と評している。

 ダーリン氏が賦課公社の会長を務めていた間、賦課公社は新型コロナウイルス感染症の大流行時に英国競馬の再開に重要な役割を果たした。観客不在によって競馬場が財政的に打撃を受けるなか、賞金の上乗せ分を提供する介入をしたのである。

 賦課公社は、8月4日(日)に発表された声明の中で次のように述べている。 「ポール・ダーリン会長の突然の訃報に接し、競馬賭事賦課公社の役員および職員は大きなショックを受けています。ポールは非常に尊敬され、人気のある同僚であり友人でした。優れた能力と並外れた熱意、エネルギー、そして遊び心を併せ持つ彼は、競馬賭事賦課公社に献身的でした」。

 ダーリン氏は、ポール・リー氏の後任として、2020年4月に文化・メディア・スポーツ省から賦課公社の会長に指名された。彼は今年4月から、会長として2期目の4年間をスタートさせていた。2008年から2014年にかけては、政府から任命された役員を同公社で務めていた。

 ロンドンの39エセックス・チェンバーズ法律事務所の商法・建設法を専門とする勅選弁護士であったダーリン氏は、2006年から2008年までトート社の役員、2014年から2019年まで英国ブックメーカー協会(Association of British Bookmakers: ABB)の会長も務めた。

 ダーリン氏は競走馬を所有したことがあり、2005年英ダービー勝馬モティヴェーターを所有するロイヤルアスコットレーシングクラブのメンバーだった。

 また、2009年から2015年まで競技場安全機構(Sports Grounds Safety Authority)の会長を務め、その後、競技場と競馬の安全への貢献に対して大英帝国勲章(OBE)を授与された。

 ダーリン氏には妻のカミラ・ダーリン博士がいる。

 賦課公社の声明は、次のように続く。「彼の死は、競馬賭事賦課公社の全員の人生に空白を残すだろう。我々は彼の死を深く寂しく思いますが、彼が競馬を愛し、長年にわたって競馬賭事賦課公社と競馬のために尽くしてくれたことは忘れません。私たちの思いは、彼の家族、特にカミラ夫人と共にあります」。

 ダーリン氏は、ABBが現在の賭事業界の業界団体である賭事・ゲーミング協議会(BGC)に引き継がれる際にABBを去った。

 BGCを代表して、ゲーリー・フォリス業務執行取締役は次のように述べた。 「ポールのご家族とご友人に対し、この大変悲しい時に、心よりお悔やみ申し上げます。彼は賭事業界で絶大な人気を誇り、知的で著名な人物でした。彼の鋭いウィットは、私たち全員から惜しまれることでしょう」。

 BGCのマイケル・デュガー委員長もダーリン氏に弔意を表し、次のように述べた。 「ポール・ダーリンが亡くなったことを知り、とても残念です。信じられないほど賢い人でしたが、いつも素晴らしい仲間で、とても楽しい人でした。温かく、賢明な年老いた熊のような人でした。著名な辣腕弁護士であり、英国競馬界にとっては力強く進歩的な力であり、賭事業界の多くの人々にとっては親愛なる友人でした。このひどく悲しい時に、彼の多くの友人と愛する人たちに私の思いと祈りを捧げます」。

 競馬場協会(RCA)最高責任者のデビッド・アームストロング氏もまた、訃報に接し悲しみを語った。

 「ポールは英国競馬の偉大な友人であり、共に働く者たちの師でもありました。彼は2020年に競馬賭事賦課公社の会長に就任しましたが、彼の賢明な助言を、私は常に大切に覚えているでしょう。新型コロナウイルス感染症の大流行時に賦課公社を率いた彼のリーダーシップは、競馬産業が直面した課題に立ち向かうために必要不可欠なものでした。彼の訃報は本当にショックです。ポールの家族、英国競馬界の同僚、そしてなによりカミラ夫人に哀悼の意を表します」。

By Bill Barber

[Racing Post 2024年8月4日「Tributes paid to 'hugely popular' Levy Board chairman Paul Darling following his death aged 64」]