過去2回のジャパンカップ(G1、東京競馬場)を見ると、2020年に更新された最新のボーナス制度がその目標を達成していることがわかる。
2019年のジャパンカップで海外からの出走馬が1頭も集まらなかったことから、日本中央競馬会(JRA)はボーナス制度の賞金体系について新たなアプローチを検討することにした。その結果、日本馬に対してはジャパンカップの前に行われる国際的なトップレースのために海外遠征することを奨励する一方で、外国馬には極東へ遠征してレースへ出走する動機を与えるという、魅力的なボーナス制度が採用された。
今年ジャパンカップに出走する3頭の外国馬は、10億8,500万円もの本賞金をかけてレースに臨む。300万ドル(約4億6,500万円)の褒章金はボーナス制度によるもので、指定外国競走を優勝した外国馬がジャパンカップを制した場合に贈られる。また、地元の日本馬は基本的に1着賞金5億円を目指して競うが、ボーナス制度の条件となっている指定外国競走における勝利を収めることで、追加で最高200万ドル(約3億1,000万円)までの褒賞金を手にすることができる。
JRA国際部国際渉外課の荒木隆佑課長補佐は、次のように述べた。「私たちは長年にわたってボーナス制度を発展させてきましたが、2019年のジャパンカップには残念ながら外国馬の参戦がありませんでした。このことが、外国馬を誘致するために何とかしなければならないと考えさせる大きな転機となりました」。
この新しい制度の下、日本を拠点とするイクイノックスは海外に遠征し、2023年のドバイシーマクラシック(G1)を制覇した。この勝利により、昨年のジャパンカップを4馬身差で制した際には、日本馬に贈られる褒賞金としては最高額の200万ドルを獲得した。
今年も指定外国競走を優勝した外国馬には300万ドルの褒賞金が交付されるため、オーギュストロダン、ゴリアット、ファンタスティックムーンという強力な3頭の出走馬が集まった。優勝馬だけでなく、2着馬に120万ドル(約1億8,600万円)、3着馬に75万ドル(約1億1,625万円)の褒賞金が与えられる。
外国馬にとって、ボーナス対象となるジャパンカップの指定外国競走は7カ国で行われる。オーギュストロダンはプリンスオブウェールズS(G1)、ゴリアットはキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1)、ファンタスティックムーンはバーデン大賞(G1)を制してボーナスの交付対象馬となった。
今年アメリカで行われたジャパンカップのボーナスプログラム指定競走は全て芝のG1競走であった。それらは、マンハッタンS、アーリントンミリオン、ソードダンサーS、ジョーハーシュターフクラシック、ブリーダーズカップターフである。
ジョン・スチュワート氏(レゾリュート・レーシング)はゴリアットのメインオーナーである。レキシントン在住の彼は、魅力的な賞金体系とボーナスプログラムに加えて、ジャパンカップは馬主に素晴らしい利益をもたらすと指摘した。
「ジャパンカップに参戦することは素晴らしいことだと思います。レースの成績に関係なく、20万ドル(約3,100万円)の報奨金を手に入れることができます。そして、招待競走なので遠征費を全て払ってくれます。JRAについてひとつ言えるのは、おもてなしが素晴らしいということです。私たちの渡航費や宿泊費だけでなく、共同オーナーのフィリップ・フォン・ウルマン男爵、調教師、厩舎スタッフの分を提供してくれました」。
スチュワート氏は国際的な競馬開催を大変好んでおり、より多くのアメリカの調教師がこのような選択肢を検討することを望んでいる。
「私たちが真の実力を試すことが出来る唯一の方法は、競争を開放して互いに競い合うことです」とスチュワート氏は言う。「アメリカはひどいものです。私はアメリカの一流調教師に、ロイヤルアスコットに馬を連れていきたいと相談しましたが、誰も行きたがりませんでした。彼らは『賞金が遠征するには値しない』と言うのです。私は賞金なんてどうでもいいのです」
「私は、ある年に何勝もした馬を、またその翌年も同じレースに出走させることにはまったく興味がありません。ただ、アメリカではよくあることです。もしそうやって成功した馬がいたら、『次はオーストラリア、あるいは日本に連れて行きましょうか?それともほかの国へ連れて行って力を試しましょうか?』という風に私は考えたいのです」。
By Frank Angst
(1ドル=約155円)
[bloodhorse.com 2024年11月4日「Japan's Bonus Program Aims to Spur International Racing」]