ロマンチックウォリアー(せん6歳)が電光石火のパフォーマンスで香港カップ(G1)三連覇を達成して単勝オッズ1.1倍を正当化したことで、新たな歴史が刻まれた。これにより、同馬はG1通算9勝、賞金も1,800万ポンド(約35億1,000万円)に迫る勢いとなり、ゴールデンシックスティを抜いて史上最多獲得賞金馬となった。
このダニー・シャム調教師の管理馬は、2023年10月にターンブルS(G1、フレミントン)で最後の負けを喫して以来、世界的なスーパースターとして勝利を挙げ続けている。今回の香港カップでの走りは、同馬の最も目を見張るパフォーマンスの1つであった。
ジェームズ・マクドナルド騎手は1枠という絶好の枠を最大限に生かし、終始好位をキープした。逃げるウイングスパンと結果的に3着となるタスティエーラの後に付け、3番手で直線に入った。
残り1ハロンでタスティエーラをかわすと、ロマンチックウォリアーは素晴らしい末脚を見せて、あっという間にレースを決着させた。「ウォーリアー 」とスタンドから叫ぶファンに後押しされたかのように、同馬は1馬身半差をつけて圧勝した。
中内田充正調教師の管理馬リバティアイランドは力強い伸び脚を見せたが、この圧倒的な勝馬には脅威とならなかった。マクドナルド騎手は、観客に敬礼し、苦戦を強いられたライバルたちをしばらくの間哀れむような目で眺めながら、ラスト30ヤード(約27.5メートル)は鐙に立つ余裕さえ見せた。
日本勢は2着のリバティアイランドに加えて、タスティエーラがその1 1/4馬身差の3着で入線した。一方、アンドリュー・ボールディング調教師管理のザフォクシーズは単勝オッズ114倍で4着となり大健闘した。
マクドナルド騎手は次のようにコメントした。「本当に信じられません。ロマンチックウォリアーをとても誇りに思います。彼はいつも本当に素晴らしい走りを見せてくれます。ダニーと彼のチームの努力の賜物です」
「日本馬も勝負を仕掛けてきましたが、勝ち目はありませんでした。他の馬のことは忘れて構わないでしょう。間違いなくロマンチックウォリアーが一番です。彼は飛んでいるかのように走ります。とても乗りやすい馬なので誰にでも乗ることは出来るでしょう。私はとても幸運な騎手なのです。彼は一生をかけても出会えるかどうかわからないレベルの馬です。これは歴史に残る瞬間で、まるでオールブラックスのウイニングキックを決めるために並んでいるような気分でした。夢を見ているようです」。
香港馬が4つの国際レースのうち3つを制し、香港の調教師にとって大成功の一日となった。ロマンチックウォリアーは、国際舞台で昨年はコックスプレート(G1、ムーニーバレー)、今年6月には安田記念(G1、東京)を制したことで、香港競馬のクオリティの驚異的な宣伝となっている。
シャム調教師は来年2月のサウジカップ(G1)でダートでの魅力的な挑戦を視野に入れており、ロマンチックウォリアーはまたしても国際的な大仕事をすることになる。
シャム調教師は次のように述べている。 「ロマンチックウォリアーは自信に満ちていて、元気いっぱいでした。今日私はずっと厩舎にいました。あまり外に出て話したくはありませんでした。私は調教師としてやれることを精一杯やっていますし、大好きなチームのみんなが素晴らしい仕事をしてくれるからです」
「彼は最高の馬ですが、ドバイとサウジアラビアに遠征するというもっと大きな挑戦をしなければなりません。私自身ドバイには25年遠征していません。当時、私はアイヴァン・アラン調教師の助手をしており、ドバイで新しい経験を積みました。ドバイ遠征に向けてチームを確実にベストな状態にしたいと思っています」
「オーナーのピーター・ラウ氏は、サウジアラビアで世界最高賞金のレースに挑戦するのは千載一遇のチャンスだと仰っています。ダート馬場については試しているところですが、パシファイアーを付けてオールウェザーのトライアルレースを走らせてみたところ、かなりいい感じでした」。
By Conor Fennelly
(1ポンド=約195円)
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