使用が義務付けられた新しい鞭に、平地競走の騎手から不満の声が上がっている。この鞭の開発者は、6月26日に競馬監理機構(Horseracing Regulatory Authority: HRA)が、この鞭に対する福祉給付金を増額した旨を述べた。
イギリスの主要騎手の多くは4月1日から使用を義務付けられている鞭が以前のものよりも効果が少なく、破損しやすいと訴えている。
今夏騎乗停止となった多数の騎手に対してどのような説明をするかを検討している際に、この新しい鞭が話題になり、“効果が少ない”との苦情が出た。
クラシックレースに勝利しているマーティン・ドワイヤー(Martin Dwyer)騎手は、「いかなるスポーツ選手でも、装具を全く違うものと変えることは簡単なことではありません。しかし、この変更に適応していかなければなりませんし、私たちはまさに今それを経験しています。騎手全員がその鞭を使っているので、誰かが不利になるということはありません。変更直後なので2、3の問題はあります。新しい鞭の中には耐久性がなく、破損しやすいものがあるからです。それは、製造過程の不備によるものであり、今後改善されていくものと思います」と述べた。
障害競走用よりわずかに短い新しい鞭は、カウンティーアントリム(County Antrim)にあるオールドミルウィップス社(Old Mill Whips)のロバート・パトン(Robert Patton)氏によって開発された。6月26日にパトン氏は、「現在改良中であり、懸念を取り除くため騎手との会談を予定している」と語った。
また同氏は、「批判には驚きませんでした。障害競走の騎手も初めは同様でしたが、今では受け入れていますので、平地競走の騎手も同じように適応してくれると確信しています。新しい鞭は馬に対して以前のものほどの痛みを与えませんので、馬にとって優しいのです」と語った。
HRAは6月26日、新しい鞭に対する不評があることを認めた。HRAの広報担当ポール・ストラサーズ(Paul Struthers)氏は、「多くの騎手が新しい鞭を気に入っておらず、効果が少ないと感じていることは知っています。これは衝撃吸収型の鞭で、馬に優しいものです。だからといって、鞭の効果がなく馬に鞭による指示ができないとは言えません。障害競走において立証されたように、馬に鞭跡がつけられるリスクが減るでしょう」と述べた。
ストラサーズ氏は平地競走用鞭のパッド入りの先端は使用していくうちにその形状が失われることを認めたが、「数週間後を目途に多くの改良をしています」と述べた。
同氏は次のように付言した。「障害競走に新しい鞭を取り入れたときもスムーズに移行できたわけではありません。しかし4年経った今、全面的に支持されており、全ての障害競走の騎手がこの鞭を使っています。衝撃吸収型鞭は平地競走においても定着するでしょう。ほとんどの騎手は新しい鞭を支持しています。私たちは現在、騎手に受け入れられるよう耐久性の改良に取り組んでいます」。
By Graham Green
[Racing Post 2007年6月27日「New whip here to stay, says HRA」]