アイルランド競馬協会(Horse Racing Ireland:HRI)は8月15日に、2008年の平地競走と障害競走で一定基準以下のレーティングの馬を排除する措置を発表した。
このような措置を講じるに至った背景について、HRIは、次のように説明している。アイルランドでは、経済成長(「ケルトの虎の奇跡」と呼ばれる)と高い賞金水準に刺激され、競走馬所有意欲が高まり、近年競走馬頭数が増加している。一方、開催日数・レース数も近年増加傾向にあるが、競走馬頭数の増加に追いつかず、調教師は管理馬の出走機会を確保するため、複数の出馬投票をしている。その結果、出馬投票の数が激増し、許容限度を超えているので、歯止めをかける対策を講じる必要がある。
新たな措置は、全レースについて出走資格のレーティングの下限を一律3ポンド引き上げるというものだ。平地競走は45、ハードル競走とスティープルチェイス(固定障害)競走はそれぞれ77と67になる。
移行措置として、まず来年には、42未満のレーティングの馬は平地競走の出走資格がなくなる。この体制に円滑に転換するために、来月から4歳以上の全馬のレーティングを発表することになる。
次に、2008年には42〜44のレーティングの馬が基準外となる。45の最低レーティングは3歳馬にも適用されるが、2歳馬については50(現行52)とされる予定である。
これらの措置の発表に際して、HRIの最高経営責任者ブライアン・カヴァナー(Brian Kavanagh)氏は、「2007年上半期に11,800頭を超える馬が除外されています。関係者全員が、こうした状況に全く耐えらないと思っています。この問題を容易に解決する方法が見当たらない中で、HRIは現状を徐々に改善するためのいくつかの措置を考えました。アイルランド競馬は、“出走機会の確保”と“レースの質・競争力のある賞金レベルを基礎とする競馬の発展”との間のバランスをとらなければなりません」と語った。
新しい措置について、アイルランド競走馬調教師協会(Irish Racehorse Trainers’ Association)の最高責任者ジム・カヴァナー(Jim Kavanagh)氏は、「過去6週間にわたって、この問題についてHRIと交渉しました。HRIの決定に全面的に賛成している訳ではありませんが、大きな改革は不可避です。HRIの決定を我が協会メンバーが好感をもって受け入れ、劣等馬が競馬から淘汰されるように望んでいます。また新しい措置が、出馬投票の状況を好転させ、調教師自らが自信を持って出走させたい馬を出馬投票するよう期待しています。私たちはHRIに、競馬から排除される恐れのある馬の馬主に決定を通告する広報活動を行うよう求めました。平地競走ではおよそ200頭がその対象となるでしょう」と語った。
By Tony O’Hehir
[Racing Post 2007年7月12日「HRI to tackle huge increase in balloting」]
[Racing Post 2007年8月16日「HRI announce measures to remove lowest- rated horses」]