海外競馬情報 2007年11月02日 - No.21 - 1
走行妨害に関する国際共通ルールの提案(イギリス)【開催・運営】

 イギリスは、走行妨害の審議に関してより更なる共通化を図るために、世界の競馬統轄機関に働きかけ続けている。その一環として、昨年のロイヤル・アスコット開催でアドヴァロレム(Ad Valorem)が勝馬となり物議をかもしたときのビデオを含め、6つのビデオが各国の競馬統轄機関に配布された。

 しかし、この目標が達成させるべきだとしても、英国競馬統轄機構(British Horseracing Authority)の規則担当理事マルコム・ウォーレス(Malcolm Wallace)氏が、ビデオの配布により得られた調査結果は、同氏が直面している仕事がいかに困難であるかを説明するのに役立ったにすぎない。

 10月8日にパリで開催される国際競馬統轄機関連盟(International Federation of Horseracing Authorities: IFHA)の会議でビデオが上映されて討議される際に、同氏は自身の考えを説明することになるが、同氏は困難な議論になることを覚悟している。

 2006年のクイーン・アンS(Queen Anne Stakes)での裁決委員によるアドヴァロレムの扱いが、競馬開催国の間におけるルールの相違の一例である。すなわち、エイダン・オブライエン(Aidan O’Brien)調教師が管理する同馬が本命のピアレス(Peeress)の走行を妨害したにもかかわらず、裁決委員はアドヴァロレムが同レース(GI)の1着賞金を獲得することを認めた。ピアレスは、アドヴァロレムから受けた走行妨害の結果、2着に入線したコートマスターピース(Court Masterpiece)が潜在的に可能であった優勝のチャンスをなくしてしまった。アスコット競馬場の裁決委員は、アドヴァロレムは走行妨害を犯したが、このことで同馬の入着順位が有利になったわけではないと判断した。

 ウォーレス氏は、次のように述べている。

 「走行妨害ルールの検討については、ヨーロッパで試みましたが、わずかな成果しか得られませんでした。今回これを世界中に拡大しようと思い、3ヵ月程前にIFHAに提案書を送りました。この提案書は、走行妨害が起きたあと最も適切に着順を決定するための方法を検討し、すべての競馬統轄機関において同じ結果が得られる国際的なルールを確立することを目的としています。

 10ヵ国に対してイギリスの6つの事例を送りました。これらの国からさまざまな反応が返ってきました。一般的に言えば、? イギリス、アイルランドおよびアラブ首長国連邦は、すべての結果は入線どおりとし、? フランス、ドイツおよびイタリアは、走行妨害があった場合にはすべての結果を変更し、また ? 南アフリカ、香港およびオーストラリアは中間の立場をとり、ある場合には着順を変更し、またある場合には入線どおりの結果にしています。したがって、走行妨害の問題を検討する方法に関して世界中でかなりの相違があるのは明らかです。

 私は、世界の競馬統轄機関がヨーロッパから2ヵ国、アジア競馬会議(Asian Racing Conference)から2ヵ国そしてアメリカ大陸から2ヵ国が参加し、南アフリカ競馬公社(South Africa’s National Horseracing Authority)の専務理事ロブ・デ・コック(Rob de Kock)氏が委員長を務める国際委員会を設置するよう提案しました。この国際委員会は、各国の馬券購入者と競馬ファンのために走行妨害について同じ扱いがされるよう、問題を検討してルールの共通化を提案することを目的とするものです」。

By Graham Green

〔Racing Post 2007年10月1日「Britain continues to lobby for harmonisation over interference inquiries」〕