海外競馬情報 2007年03月09日 - No.5 - 3
走行妨害規程を各国間で統一する動き(国際)【開催・運営】

 フランスは走行妨害規程に関してイギリス・アイルランドに歩調を合わせるかもしれない。フランス・ギャロ(France Galop)のルイ・ロマネ(Louis Romanet)事務総長は、走行妨害の審議のやり方を変えるよう、フランス裁決委員の説得に努めると述べた。

 ロマネ氏は、アジア競馬会議(Asian Racing Conference: ARC)ドバイ大会に出席した各国代表に、「それぞれの国が走行妨害の審議に関して異なるやり方を採用していることを馬券購入者に対してどう説明できるのだろうか」と問いかけた。

 同氏は昨年、走行妨害規程が異なる例として、ロイヤルアスコット開催のクイーン・アンS(Queen Anne Stakes)でのアドヴァロレム(Ad Valorem)の取り扱いを挙げ、同馬はフランスでは失格になったと思われるのに、クイーン・アンSはそうならなかったことが不可解であると述べた。

 しかし、同氏は走行妨害の因果関係で疑問が生じた場合に、妨害を受けた側を有利に扱うやり方を変更するようフランスの裁決委員を説得することを使命として帰国すると述べた。

 現在、フランス、イタリアおよびドイツは、妨害を受けた側を有利に扱う方針を採用している。しかしその一方で、イギリスおよびアイルランドを含む他の大多数の主要競馬開催国は、原因と結果の因果関係に疑問が生じた場合には入着順位に従うという逆の方針を採用している。

 ロマネ氏は、この問題は昨年から検討されており、1月24日に行われた公開のビジネスセッションとは別に、初の国際裁決委員会議(International Stewards’ Conference: ISC)での討論で納得したと述べた。

 その非公開会議にフランス・ギャロのアンリ・プーレ(Henri Poulet)上席裁決委員を伴って出席したロマネ氏は、「フランスの解釈は行き過ぎでした。フランスは失格に関する規程を可能な限り早期に変更すべきであるという私の個人的見解を裁決委員に話すつもりです。この見解は支持されないかもしれません。おそらく馬主を補償する方法を模索しなければならないと思いますが、失格に関する規程の変更は、馬券購入者のために賢明な方法なのです」と述べた。

 裁決委員の裁定に関して各国の競馬統括機関の間でいっそうの統一化を図ろうという動きは、個別的にではあるがISCの設立者が想像していたよりもはるかに早く始まった。これは、ニュージーランドで働いているISCのフィン・パウリー(Fin Powrie)議長が「この問題に関して意見があまりにも対立していたため、我々のこれまでの取り組みは不十分であった」と各国の代表に述べたことを受けてのことである。

 パウリー議長は、ISCの設立機関であるアジア競馬連盟(Asian Racing Federation)に報告する際に、ISCの年次総会で調和に向けた動きを維持するよう強く求めると述べた。そして「我々は一歩前進しました。これが最後でないことを保障するのは我々の責任です」と付け加えた。

By Howard Wright

〔Racing Post 2007年1月25日「Romanet to lobby for interference rule change in France」〕