海外競馬情報 2008年06月20日 - No.12 - 3
サンタアニタ、水はけ問題でクッショントラック社を告訴(アメリカ)【その他】

 サンタアニタ競馬場を運営するロサンジェルス・ターフクラブ社(Los Angeles Turf Club Inc.)は、人工馬場の水はけ問題が原因となって2007-8年の冬/春シーズンに11日の開催中止を余儀なくされたため、その賠償を求めて、クッショ ントラック・フッティング社(Cushion Track Footing: CTF)を被告として連邦裁判所に提訴した。

 損害賠償請求額の内訳は、2007年夏に敷設した1万9375トンのクッショントラックの代金522万5000ドル(約5億7475万円)、水はけ問題で発生した改修費用136万9000ドル(1億5059万円)、およびCTFでは馬場の欠陥を解消できないと判断してプロライド社(Pro-Rideオーストラリアを本拠とする人工馬場製造会社)に依頼した改修費用183万1000万ドル(約2億141万円)である。

 ロサンジェルス・ターフクラブ社の損害賠償請求には、このほか付随的損害として、競馬開催中止による損害額が含まれているが、その額は裁判で決定されることになる。なお、同社の総売上げは2006-07年の同シーズンと比較して7%減少している。

 フィリップ・ボンド(Philip Bond)氏とポール・ハーパー(Paul Harper)氏が被告であるCTFを代表することになる。

 サンタアニタ競馬場は1月の初めの報道発表で、水はけ問題の解決方法を見つけることに望みがあるとのハーパー氏の発言に言及していた。CTFの技術担当役員であるハーパー氏の発言は、「もし解決方法がなければ、当社は開催終了後に新しい人工馬場を敷設します。CTF USA社は、サンタアニタ競馬場の人工馬場が良く機能するよう努力します。サンタアニタ競馬場の馬場を世界中の競馬場のクッショントラック馬場と同程度の水準にするため最善を尽くします」であった。

 その時点でハーパー氏は、サンタアニタ競馬場の人工馬場の主目標は、ハリウッドパーク競馬場のクッショントラック馬場と同様の効果を発揮することにとどまらず、華氏110度(摂氏43.3度)に耐えるという特徴を持っていると語っていた。同氏は、結果的には高温に焦点を合わせたことにより水はけ能力が落ちてしまったと述べた。

 サンタアニタ競馬場の職員たちは、「1月初旬から2月初旬までの約1ヵ月間、その間に豪雨によって深刻な水はけ不良が起きていたのに、CTFから何の連絡もありませんでした」と述べた。

 サンタアニタ競馬場は、プロライド社の創設者イアン・ピアース(Ian Pearse)氏が2月に4日にわたって徹底的に改修した現在の人工馬場で開催を続ける方針である。同競馬場のロン・チャールズ(Ron Charles)場長は、「改修後の馬場はここ2ヵ月良く機能しております。なお、水はけ問題についてはピアース氏が今週さらに調査する予定です」と述べた。

 チャールズ場長は、「この8週間、つまり競馬開催の最後の4週間と1500頭の馬が調教のために使用している4週間、馬場の状態は信じられないほど素晴らしくなりました。馬用の救急車の出動は1度もありませんでした。ホースマンたちはこの馬場に大変満足しています。信じられない暴風雨の時、仕様どおりに排水ができていない部分があり、馬場には2インチ(5.08 cm)から6〜7インチ(15.24〜17.78cm)水が溜まりましたが、調教に影響は出ませんでした」と述べた。

 ピアース氏はサンタアニタ競馬場に、昨夏CTFが敷設したアスファルトの路盤を取り除くように勧告した。同氏はまた、今夏数週間をかけてプロライド社のポリマーとファイバーの混合物で同競馬場の馬場を改善しようとしている。

 チャールズ場長は、「残っているCTF製のものはすべて取り除かれるでしょう。ピアース氏は、新たな路盤によって水はけ問題が解消する自信があると述べていました。ほとんどプロライド社製の馬場に近いものとなるでしょう」と述べた。

 同場長は、「サンタアニタ競馬場の親会社であるマグナ・エンタテイメント社(Magna Entertainment Corp.)のフランク・ストロナーク(Frank Stronach)会長にピアース氏の勧告を提出します。会長に勧告を提出して2週間以内に私たちは決定を下すことになると思います」と付言した。

By Jeff Lowe
(1ドル=約110円)

[thoroughbredtimes.com 2008年5月29日「Santa Anita sues Cushion Track over surface issues」]