競馬施行者の中には、競馬場でゲーミングを拡大して経済的に苦しい競馬の経営を続けようとする者がいる。しかし、著名な競馬施行者たちは、採算のとれない競馬経営を続ければ、ゲームミング拡大による収益では、競馬による赤字を補填できなくなるかもしれないという懸念を示した。
ゲーミングからの収益は競馬場の設備改善のための資金を捻出し、競馬賞金を増大させるのに役立つが、スロットマシンと競馬では客層が異なっており、競馬の売上げは増加しない。
サラブレッド競馬場協会(Thoroughbred Racing Association)とアメリカ繋駕競馬場協会(Harness Tracks of America)のメンバーは2月19日、フロリダ州のセントピーターズバーグで開催された両協会の第5回年次合同会議において、レーシノ(競馬場+カジ ノ)の功罪について激論を展開した。
3つのサラブレッド競馬レーシノ(チャールズタウン・レーシズ、ペン・ナショナルおよびジア・パーク)を所有するペン・ナショナル・ゲーミング社 (Penn National Gaming Inc.)のクリス・マッカーリーン(Chris McErlean)競馬担当副社長は、「スロットマシンはとてつもなく賞金を増大させましたが、新規ファンの獲得にはあまり寄与しなかったようです。スロットマシンの導入によって、競馬を支援する手段が増えます。もっと沢山の人がもっとお金を費やすことが必要です」と述べた。
デラウェア州選出下院議員(民主党)ビル・オバール(Bill Oberle)氏は、「場内賭事客が少なくても、より良い商品(競馬)が良ければ賭金が集まりますから、気にしていません。スロットマシンと競馬の両方をする客はあまりいませんが、私たちはスロットマシンで得た収益で、従業員を雇用し、施設を整備することにより競馬に投資しています」と述べた。
“ショッピングセンター対専門店”という図式は“レーシノ対競馬場”にも当てはまると、ノースフィールドパーク競馬場のブロック・ミルスタイン(Brock Milstein)場長が指摘し、マッカーリーン氏とオバール氏がこれに賛成した。
マッカーリーン氏は、「私たちは1つの施設ですべてのエンターテイメントを提供する予定です」と述べ、ペン・ナショナル社のペンシルバニア州中部にある主力施設に今年スロットマシンを新設し徹底的な改装を行い、数年内にゲーミングをさらに拡大をするつもりだと述べた。同氏は、「カジノとサイマルキャストと競馬を一体化する予定です。そのため施設を建て替えるのです」と述べた。
またこれらの施設の多くの収益構造は、(1)ホースマンと競馬施行者は拡大されたゲーミングのおかげでより多くの収益を得ており、(2)競馬開催のためのコストはその施設での競馬の収益を上回っている。
ニューヨーク州でタイオガダウン競馬場とヴァーノンダウン競馬場の2つレーシノを所有するジェフ・グラル(Jeff Gural)氏は、「レーシノなしでは運営することができない競馬場がいくつもあります。私が所有する2つの競馬場もそうです。私たちにとってはレーシノの収益が頼りです。競馬は通年施行はできません。競馬をすればするほど収益が落ちるのが現状です」と語った。
マッカーリーン氏は、「経営的視点から競馬の自活を望んでいますが、現状としてはいくつかの競馬場でそれが困難になっています。競馬開催日が多すぎます。主要な問題は、ホースマンはよくやっているけれども、提供している競馬商品が競馬場経営にとって、もはや必ずしも重要ではないということです」と述べた。
By Ed DeRosa
[thoroughbredtimes.com 2008年2月19日「Gaming boosts revenue, does not create racing fans, panel says」]