国際競馬統轄機関連盟(International Federation of Horseracing Authorities: IFHA)は、そのメンバーである50の統轄機関を代表し、世界知的所有権機関(World Intellectual Property Organisation: WIPO)に対して、競馬のデータと映像について法に基づく保護を行うよう要請した。
WIPOの著作権及び著作隣接権に関する常設委員会(standing committee on copyrights and related rights)は3月15日、新たな放送条約を審理するためにジュネーブで3日間の会合を開始した。IFHAはこの機会を利用し、賭事運営会社による知的 財産権侵害の脅威に対して敢然と立ち上がった。
会合にオブザーバーとして出席したIFHAの専務理事モーリッツ・ブリッギンク(Maurits Bruggink)氏は、「競馬は、一年中3分間に1回開催され、賭事産業の主要な原動力となっています。競馬は、コストのかかる商品であり、したがっ て、我々の活動を基礎にビジネス・モデルを築き上げている賭事運営会社が競馬のコストを負担するのは、きわめて当然かつ正常なことです」と述べた。
WIPOの政府代表者に対するIFHAの要請は、新たなデジタル技術を使ったサイマルキャストやインターネットなどによる競馬のデータと映像の配信における知的財産権の保護義務を規定することにある。
ブルッギンク氏は、次のように述べた。「サイマルキャストとインターネット配信は競馬をリアルタイムで観ることを可能にします。このことがとりわけ賭事に適合しており、したがって知的財産権侵害を受けやすいのです」
「著作権法のような既存の伝統的な法律は、新たなデジタル技術を使って競馬のデータと映像を配信する場合、知的財産権を保護するのには不十分です」。
先週ヨーロッパの主要競馬開催国は共同宣言に署名し、欧州共同体の諸機関(欧州議会、欧州理事会および欧州委員会)に対して、“競馬と勝馬投票に関する 明確かつ首尾一貫した法的・規制的枠組み”の緊急の必要性を認識するよう求めた。IFHAのWIPOへの要請は、この共同宣言を受けて行われたものであ る。
共同宣言は、ブリュッセルにある欧州議会で開催された競馬とオンライン勝馬投票に関する会議へ提出された。
By Howard Wright
[Racing Post 2008年3月15日「IFHA seeks protection for racing from bookmaker piracy」]