海外競馬情報 2009年05月22日 - No.10 - 2
インターネット賭事に関する新たな法案を発表(アメリカ)【開催・運営】

 米下院金融サービス委員会(House Financial Services Committee)の委員長バーニー・フランク(Barney Frank 民主党−マサチューセッツ州選出)下院議員は約束通り、インターネット賭事業者のための免許と取締りの制度を確立する法案を5月6日発表し た。

 この法案が成立すれば、2006年違法インターネット賭博禁止法(Unlawful Internet Gambling Enforcement Act: UIGEA)は事実上廃止される。UIGEAはインターネット賭博に関して、ポーカーやカジノのような賭博を違法とするが、競馬のパリミューチュエル賭事 は数少ない合法的形態の1つと認められている。

 電話投票(advance-deposit wagering: ADW)運営業者ユーベットコム社(Youbet.com)は、事業拡大のチャンスとみてフランク議員の法案を支持している。

 ユーベットコム社の最高経営責任者マイケル・ブロツキー(Michael Brodsky)氏は次のように述べた。「フランク委員長の法案は、米国のインターネット賭事制度に対する現実的な提案であり、歓迎します。米国の違法な インターネット賭博は今や、数十億ドルの規模にまで膨れ上がっています。フランク委員長の法案はその現実を認識しており、違法な賭博活動を鎮静化するで しょう。この法案は、未成年者の賭博を防止し、賭博依存症の問題を解決する一助となり、米国の成人にインターネットで賭事を行う権利を認め、払戻金を保護 し、この不況期に切望されている収益をもたらすでしょう」。

 UIGEAは銀行などの金融機関(クレジットカード会社)に対して、賭事客と違法インターネット賭事サイト間の取引(送金)を停止することを要求しているが、多くの銀行は実行が困難だと述べている。

 専門家は、この法案が成立すればインターネット賭事からの税収が、今後10年で480億〜620億ドル(約4兆8000億〜6兆2000億円)見込まれると予測している。

 全米サラブレッド競馬協会(National Thoroughbred Racing Association: NTRA)の会長兼最高経営責任者のアレックス・ウォルドロップ(Alex Waldrop)氏は、次のように語った。「NTRA はインターネットによるパリミューチュエル賭事を守るためにフランク議員とともに活動するつもりです」。

 「競馬を対象としたインターネット・パリミューチュエル賭事は州間競馬法(Interstate Horseracing Act)によって認められています。インターネット賭事に関しどのような連邦法が制定されるにせよ、この競馬賭事が適切に守られるよう、NTRA はこれまでどおりフランク議員および他の下院議員とともに取組みます」。

 「インターネット・パリミューチュエル競馬賭事は、ホースマンたちへの賞金と約200の競馬場の収益の確保に貢献しています。また、競馬産業はアメリカ 経済に対して38万3000人の雇用と年間国内総生産260億ドル(約2兆6000億円)の経済効果をもたらしており、その維持にも寄与しています」。

 

By Frank Angst
(1ドル=約100円)


[thoroughbredtimes.com 2009年5月6日「Frank unveils Internet gambling bill」]

新たな法案はアメリカ賭事市場への参入を可能にするかも知れない

 インターネット賭事の合法化とUIGEAの停止を内容とする法案が発表された。この法案が成立すれば、インターネット賭事業者にとっては、米国の巨大な賭事市場に参入する絶好のチャンスが訪れることになる。

 米下院金融サービス委員会のバーニー・フランク委員長は、“インターネット賭事に関する取締り、消費者保護および執行に関する法案(Internet Gambling Regulation, Consumer Protection, and Enforcement Bill)”を発表した。この法案は、連邦レベルのインターネット賭事に関する規制と執行の枠組みを確立し、米国の管轄当局が定める条件に従うことに同意 して免許を受けた賭事業者は、米国住民を相手とするインターネット賭事営業が可能となる。

 この法案は、2007年にフランク委員長が提出し、廃案となった法案に類似している。

 UIGEAには、銀行などの金融機関(クレジットカード会社)に対して、賭事客と違法インターネット賭事サイト間の取引(送金)を禁止する規定があり、 2009年12月1日に施行される予定である。フランク委員長は上記の法案とは別に、この規定の施行を延期する法案も提出している。

 2006年にベットオンスポーツコム社(Betonsports.com)のデヴィッド・カラザーズ(David Carruthers)社長とスポーティングベットコム社(Sportingbet.com)のピーター・ディックス(Peter Dicks)会長が入国した際、アメリカの空港でインターネット違法賭事に関する罪で逮捕された。

 その後パーティーゲーミング社(Party Gaming)など、海外の大手のインターネット賭事業者が米国の市場から撤退した。

 規制緩和の支持者は、オバマ政権下では以前の共和党政権下よりもフランク委員長の法案が成立する見込みが大きいと確信している。

 しかし、賭事業者は、法案が成立し免許を付与されても、各州政府が義務づけるインターネット賭事の規制(禁止と制限)を免れるわけではなく、またパリ ミューチュエル方式の競馬賭事以外のインターネットスポーツ賭事を事実上禁止している1992年プロ・アマスポーツ保護法(Profe- ssional and Amateur Sports Protection Act)の条件に従わなければならない。

 

By David Ashforth


[Racing Post 2009年5月7日「Bill could bring in US online betting」]