トート社(Tote)の7レースの勝馬を的中させるスーパー 7(Super 7)馬券で一攫千金を狙う賭事客は近々、総額賭け(fractional stakes)ができるようになる。総額賭けは、賭事客がまず購入総額を決め、そのあと馬番号の組み合わせを指定する。一部の大口馬券購入者は非難してい るが、総額賭けの基本的な仕組みの変更はないだろう。
トート社の最高経営責任者トレヴァー・ボーモント(Trevor Beaumont)氏は6月22日、スーパー7馬券発売対象レースがその日の最も難しいハンデ戦を含んで組まれていることについて、「何ら問題はありませ ん。この発売対象レース指定の仕組みを変更する必要はありません。スーパー7馬券は本質的に非常に難しい賭事です。“予想屋たたき”の賭事として企画され たものであり、トート社の品揃えにおいて隙間商品です」と述べた。
トート社はスーパー7馬券をもっと的中しやすいものにしてほしいという少数派の要望を退ける一方、顧客討論会で出たスーパー7馬券をもっと買い易くして 欲しいという意見には耳を傾けた(訳注:具体的には、馬券の販売単価をなくし、購買総額と馬番号の組み合わせを決めるだけで馬券が買えるようにして欲しい という意見)。
ボーモント氏は、「理事会で、総額賭けの導入を求める顧客の要望を取り上げました。出来るだけ早く導入する方向で検討します」と語った。
オーストラリアや南アフリカで人気のあるフレキシブル賭事(flexi-betting: 総額賭けと同様)では、賭事客が各レースで賭金の総額を決め、馬番号の組み合わせを指定する。そのあと賭事プール運営者は、賭金総額を馬番号の組み合わせ の数で割って、個々の組み合わせの単価を逆算する。払戻しは、的中した単価に応じて行われる。
ボーモント氏は、「総額賭けによってスーパー7馬券はこれまでよりも的中が増える可能性があります(訳注:賭事客は予想の網を広くかけ易くなる)。それ でも、すべての組み合わせに賭けることはないので、賭金プールのキャリーオーバー(rollover)は依然として起こります」と付け足した。
同氏は、スーパー7馬券が当初期待していたような成功を収めなかったことを認め、次のように述べた。
「取り掛かるのが遅く、途中でいくつかの間違いを犯しました。とりわけ、ハミルトン競馬場で開催が翌週に延期されたときに、スーパー7馬券を取り止めた ことは失敗でした。スーパー7馬券の2008年9月導入は、タイミングが良くなかったようです。なぜなら平地シーズンが終わりつつあり、障害シーズンには 接戦が予想されるハンデ戦をまとめるチャンスがありませんでした。地上波でのテレビ放映がなかったので、スクープ6馬券(Scoop 6)よりも定着に時間を要しました」。
「しかし、長期的には成功する自信があります。総額賭けによる賭事が一助となるのは確かですし、ヨーロッパの他の国でも販売されているという長所もあります。コミングリング(共同プール)がより広範囲に拡がれば、総額賭けを国際的に販売促進することも可能になります」。
ボーモント氏はまた、国際的に普及しているスウィンガー馬券(the Swinger 訳注:ワイド馬券)も見直すとも表明した。
同氏は、「スウィンガー馬券は一部のレースと開催においては好調です。平地シーズンの終了後にその結果を検討し、対象レースと開催をもっと精選するつもりです」と付言した。
By Howard Wright
[Racing Post 2009年6月23日「Tote introduce flexible staking plan for Super 7」]