海外競馬情報 2009年11月13日 - No.22 - 2
国民議会、インターネット賭事に関する新たな法案を可決(フランス)【開催・運営】

 10月13日、フランス国民議会においていくつかの修正が加えられた新たなインターネット賭事法案が可決された。この修正案は元老院に送られて2009年末に採決される見込みであり、可決されれば、2010年夏のワールドカップサッカーの直前に発効する見込みである。

 法案の主要ポイントは以下のとおりであり、国民議会におけるいくつかの重要な修正はゴシック体で記されている。

  • 免許発行と運営条件を扱うゲーミング委員会の設立。
  • フランスの賭事免許を取得していない賭事業者は裁判所命令によって、その知的財産権へのアクセスと銀行送金が遮断され、市場から締め出される。
  • 1%の賦課金を支払うことにより、イベント(スポーツ)運営者の知的財産権の使用が認められる。
  • ベッティング・エクスチェンジとスプレッド・ベッティング(spread betting 後先当て)の明白な禁止。
     
  宝くじ スポーツ賭事 競馬賭事 カジノ
店舗 独占を維持 独占を維持 独占を維持 免許制市場を維持
オンライン 独占を維持 開放市場:ベッティング・エクスチェンジとは関係ないインプレイ(ライブ賭け)、パリミューチュエル方式を含む固定オッズ賭事。 開放市場:パリミューチュエル賭事のみ。 開放賭事:ポーカー。スロットマシンとルーレットは含まない。
税率(オンライン&店舗)   賭金の7.5% 賭金の7.5% 賭金の2%
賦課金(スポーツ、競馬)   賭金の1% 賭金の8%
最大払戻率   賭金の80-85% 賭金の80-85%  

この法案に対するフランス競馬界(平地・繋駕)の反応は以下の点から肯定的である。

  • 賭事税が現状より5%以上減少する。
  • 競馬に関しては固定オッズ賭事が行われない。
  • 賭事収入から競馬への還元が法律により保証される。
  • 公営賭事会社(PMU)が民営賭事業者と賭金を共同のプール(コミングリング)運営することを強制されていない。
  • 公営賭事会社(PMU)が同社のオンライン賭事プールとオフライン賭事プールを分離させることを強制されていない。
  • フランスの賭事会社は、利益を競馬に注入すれば固定オッズのスポーツ賭事を提供することが認められ(義務付けられ)ている。
  • フランスの競馬会社[フランスギャロ(France Galop)、シュヴァルフランセ(Cheval Francais フランス速歩競走協会)]がリストに掲載した競走においてのみ、賭事運営が許可される。これが海外のレースについても適用される。

他方・・・

 競馬賭事はインターネット・スポーツ賭事との競合に直面する。この市場は2010年の8億ユーロ(約1040億円)から2012年には18億ユーロ(約2340億円)まで成長すると見られている。

 また、多くの賭事業者は義務的な払戻率が高いために、海外賭事業者として海賊行為を続行すると見られる。

 フランスの賭事客は、賭事における競合および固定オッズ賭事にさえも馴染んで行くことになるだろうが、このことが最終的に固定オッズ賭事と、地球規模の賭事市場の開放に繋がるだろうか?

 この最後の質問に対する回答は、今後2年以内に今回の新法の機能を見直す際に得られるだろう。

By Maurits Bruggink
(1ユーロ=約130円)


[国際競馬統轄機関連盟 2009年10月13日「Parliament adopts new French law on online gambling」]