海外競馬情報 2009年04月03日 - No.7 - 2
競馬界、スポンサー料収入の激減予測にショック(イギリス)【開催・運営】

 競馬場協会(Racecourse Association: RCA)のデーヴィッド・ソープ(David Thorpe)会長は2月23日、競馬のスポンサー収入が2009年に40%減少する予測を発表し、競馬関係者を驚かせた。

 この予測は英国競馬会議(British Horseracing Conference)での質疑応答においてソープ会長が発表したが、彼自身も予想外と考えていたようだ。なぜなら、同会長は質疑応答の前に、「スポン サーシップは非常によく持ちこたえています」と発言していたからだ。

 ソープ会長は40%減の根拠を質問され、「今後12ヵ月の市場の指標から予測したものです」と説明した。

 ソープ会長は次のように付言した。「大きな望みはもちろん、新規のスポンサーがつくことです。しかし、金融危機がまだ底を打っていないので、今後大きな影響を受ける恐れがあると懸念しています」。

 競馬スポンサー協会(Horserace Sponsors’ Association)の最高経営責任者ナイジェル・ペイン(Nigel Payne)氏は、即座にこの予測に反論し、「障害競走のスポンサーシップは本当に良く持ちこたえているように思えますし、ダービーとオークス以外の平地 の主要競走がスポンサー探しをしているとは聞いていません。40%減という数字は過大です。1年間の減少幅が15〜20%を超えるとは思えません」と述べ た。

 英国競馬統括機構(British Horseracing Authority: BHA)が2月23日に発表した賞金額の統計によれば、スポンサー料の総額は2007年の1499万ポンド(約25億4830万円)に対して、2008年 は1493万ポンド(約25億3810万円)であった。  

[訳注:英国の賞金原資に占めるスポンサー料収入の割合は約15%(2007年)]

 BHAのポール・ロイ(Paul Roy)会長は、「金融市場に敗者がいるのであれば、勝者もいます。私たちは勝者を探し、競馬に参加してもらう必要があります。人々が財政難に陥っている のは明らかです。しかし、サラブレッドの価格が大幅に修正されているということは、かつてない魅力的な価格で優良馬を購入する機会が訪れることを意味して います。バランスの取れた賞金体系を維持できれば、馬主たちの投資に対する利益率は向上するでしょう」と楽観的な意見を述べた。

 ロイ会長は更に、「競馬界では長年にわたって“リーダーシップの欠如”による失敗が繰り返されてきましたが、新たに参加者を得て競馬界に親密な関係がで きれば、それは競馬にとって有益です。競馬界は聖書に出てくる内輪争いの絶えない家のような有様で、新たな参加者を全く獲得できなかったのです。BHAの 発足後18ヵ月間の最大の成果は、スポンサーとしての競馬と産業を協調させたことです。競馬場、馬主、調教師、騎手、生産者およびその他の関係者全員が協 力し進路を切り開いてきました。これは予想を上回りました」と述べた。

 そして、ロイ会長は次のように付言した。「競馬と産業の一体化が主要課題ですが、現下の経済環境を考慮すると、競馬統括機関であるBHAとしては、競馬 界に負担してもらうコストにもっと敏感になる必要があります。BHAはさらに合理化を進める一方で、不要な経費を削減できないか検討を続けます。BHAは 緊縮財政を実行していますが、今年も継続します」。

 最後にロイ会長は、馬の福祉のための経費については妥協してはならないと述べ、「サラブレッドこそが競馬産業が存在の根本です。それは過去においても将 来についても変わらず、サラブレッドをもとにすべてが成り立っています。それ故、競走馬は私たちの唯一最も価値のある資源です」と語った。

 

(関連記事)海外競馬情報2009年No.4
「2009年のレーススポンサー料、400〜500万ポンド減少の見込み」

By Howard Wright
(1ポンド=約170円)


[Racing Post 2009年2月24日「Shock at forecast 40 per cent drop in race sponsorship」]