海外競馬情報 2010年06月25日 - No.12 - 4
プリークネスSの入場者数、内馬場への集客が功を奏し急増(アメリカ)【開催・運営】

 ピムリコ競馬場のプリークネスS(G1)開催日のビジネスの上昇と下降は、今年も続いた。開催日5月15日の入場者数は急増したが、パリミューチュエル賭事の総売上げは減少したのである。

 しかし、メリーランド・ジョッキークラブ(Maryland Jockey Club: MJC)の役員たちはこの結果に全般的に肯定的であり、おそらく一種の安堵を感じていた。馬券売上げは別にして、プリークネスS開催日はMJCにとって毎 年の財務上の主要な原動力であり、内馬場におけるパーティーの成功は大きな役割を果たしている。

 2009年の入場者数は1983年以来もっとも少ない7万7,850人で、それはビール持ち込みを禁止した新方針によるところが大きかった。MJCの役 員はこの決定のために地域住民からの批判に遭ったが、方針を変えることなしに内馬場に観衆が集まるように対策が講じられるだろうと語っていた。

 今年の入場者数は9万5,760人であり、そのうち3万3,000人が内馬場にいたと見積もられる。ほんの2〜3年前には4万人以上が内馬場にいたのに対し、2009年は1万人以下に減少していた。

 最高入場者数の12万1,263人は2007年に達成され、2001年から2008年まで入場者数は10万人を超えていた。

 2010年のプリークネスS開催日は、完璧というわけではなかった。マグカップを20ドル(約2,000円)で購入すればビールが飲み放題という新しい 販売促進については苦情があった。それは、マグカップの数が1万1,000個に限られており、そのうちほとんどが事前販売だったからである。

 このほか、この日は生ビールがたったの3ドル(約300円)であり、早い時間帯であれば1ドル(約100円)であった。

 MJCのトム・チャッカス(Tom Chuckas)理事長は、「素晴らしい日であったと思います。すべての指標から、内馬場は私たちが望んでいたように復活したことが分かります」と語った。

 MJCの役員たちもまた、話題を呼んだ広告キャンペーン“あなたも競馬場でプリークオンを着ましょう!(Get Your Preak On)”が内馬場へ顧客をもたらしたことを認めた(訳注:このキャンペーンでは「プリークオン」と書かれたタンクトップを着て肌を露出したかわいい女性を 内馬場に配置して顧客を魅了した)。どの顧客層をも対象としたこの画一的なキャンペーンについては、ボルティモアにおいて大いに議論があった。

 チャッカス理事長は、「私は結果を見て楽観的です。これは素晴らしい土台になります」と付言した。

 MJCの役員たちは、新しい方針の結果を評価し2011年の行動指針を計画するために、約2週間のうちにスタッフおよび顧客と会合を持つことになっている。

 

プリークネスS開催日の入場者数と馬券売上げ
入場者数(人) 馬券売上げ※
1993 85,495 $25,275,103(約25億2,751万円)
1994 86,343 $32,264,366(約32億2,644万円)
1995 87,707 $31,170,523(約31億1,705万円)
1996 85,122 $35,548,985(約35億5,490万円)
1997 88,594 $35,071,450(約35億715万円)
1998 91,122 $37,591,459(約37億5,915万円)
1999 100,311 $49,554,152(約49億5,542万円)
2000 98,304 $48,466,808(約48億4,668万円)
2001 104,454 $62,575,814(約62億5,758万円)
2002 101,138 $64,498,419(約64億4,984万円)
2003 100,268 $59,384,334(約59億3,843万円)
2004 112,668 $87,858,878(約87億8,589万円)
2005 115,318 $91,028,704(約91億287万円)
2006 118,402 $87,544,368(約87億5,444万円)
2007 121,263 $87,194,161(約87億1,942万円)
2008 112,222 $73,457,510(約73億4,575万円)
2009 77,850 $86,684,470(約86億6,845万円)
2010 95,760 $79,248,002(約79億2,480万円)
※プリークネスS開催日すべての競走を含む。

By Tom LaMarra
(1ドル=約100円)


[Blood-Horse 2010年5月22日「Maryland Officials Pleased with Preakness Outcome」]