2005年以降、毎年G1競走が増加してきたが、アメリカ・グレード委員会(American Graded Stakes Committee: AGSC)は、2009年12月2日のケンタッキー州レキシントンにおける年次格付会議において3レースをG1競走に昇格し、5レースをG1競走から降格 し、G1競走数を115競走から113競走に削減した。この削減は2004年に111競走から100競走に削減して以来である。
G2競走数もまた、AGSCがG1競走20%、G2競走30%、G3競走50%というピラミッド型の競走体系に近づける対応を行ったために、159競走から156競走に削減された。
結果的には、2010年重賞競走のうちG1競走が23.2%、G2競走が32%、G3競走が44.8%になる見込みである。2010年のすべての重賞競走格付け審査対象競走の中で、G1競走と重賞競走が占める割合は増加した。
ニューメキシコ州にあるサンランドパーク競馬場の役員たちは、同競馬場の最大の競走である賞金80万ドル(約8000万円)のサンランドダービーが初め てG3競走に加えられたことを歓迎している。2009年サンランドダービーでは、その後のケンタッキーダービー(G1)で優勝したマインザットバード (Mine That Bird)が4着に入着しており、他の出走馬の中にもその後の2009年重賞競走を制した馬が2頭いたことが評価された。
サンランドパーク競馬場はここ数年有力な3歳馬を呼ぶことに苦戦していた。というのも、ケンタッキーダービー出走頭数の上限の20頭よりも多い馬が集 まった場合に、出走馬を最終決定(足切り)するうえで“過去の重賞競走における賞金収得額”が非常に重視されていたからだ。
サンランドパーク競馬場は、サンランドダービーが重賞格付けされないのであれば、2010年に同競走の賞金額を60万ドル(約6000万円)に引き下げることを計画していた。
北米重賞競走数 | |||||
年 | G1 | G2 | G3 | 重賞競走合計 | 審査対象競走 |
2005 | 100 | 159 | 208 | 467 | 742 |
2006 | 104 | 160 | 211 | 475 | 734 |
2007 | 107 | 157 | 210 | 474 | 722 |
2008 | 110 | 155 | 216 | 481 | 719 |
2009 | 115 | 159 | 214 | 488 | 746 |
2010 | 113 | 156 | 218 | 487 | 723 |
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カジノも経営しているサンランドパーク競馬場に勤めて8年となる競走理事のダスティン・ディックス(Dustin Dix)氏は、「私たちは安堵すると同時に喜んでいます。重賞の格付けが得られるように一生懸命取り組んできた歳月を考えると、この喜びをどう表現して良 いか分かりません。我が競馬場のサンランドダービー4着のマインザットバードがケンタッキーダービーを優勝して以来の最高の喜びです」と述べた。
アーカンソーダービーは、オークローンパーク競馬場が同競走の賞金を100万ドル(約1億円)に引き上げてから6年を経てG1資格を獲得した。アーカンソーダービーはそれまで8年間のG1競走から1989年にG2競走に格下げされていた。
オークローンパーク競馬場の競走役パット・ポープ(Pat Pope)氏は、「多くの人々がアーカンソーダービーにG1の格付けを取り戻すために懸命に取り組みました。私たちはAGSCと多くの人々に感謝します。 ホースマン、出版・メディア関係の方々、そして我が社の職員は、オークローンパーク競馬場の競馬ファンとともに、アーカンソーダービーの重要性が認められ た喜びを分かち合っています」と語った。
AGSCはまた、サラトガ競馬場のアルフレッド・G・ヴァンダービルトHとチャーチルダウンズ競馬場のクラークHをG2競走からG1競走に昇格させた。
G1競走からG2競走に降格された5競走は、(1) ハリウッドパーク競馬場のサイテーションH、(2) ローレルパーク競馬場のフランク・J・デ・フランシス記念ダッシュS、(3) サラトガ競馬場のゴーフォーワンドH、(4) デルマー競馬場のジョン・C・マビーS、(5) サンタアニタ競馬場のサンタマリアHである。
AGSCは競走が重賞格付けを得るためには過去にその競走が2回以上施行されていなければならないとしている。このことで、BCターフスプリント、BCマラソンおよびBCジュヴェナイルフィリーズターフが初めて2010年に向けて重賞格付けの審査対象となった。
BCターフスプリントとBCジュヴェナイルフィリーズターフはG2競走に格付けされ、BCジュヴェナイルターフと同じ格付けとなる。AGSCはまた、BCマラソンをG3競走と判定した。その他のブリーダーズカップの10競走はG1格付けを維持した。
サラブレッド馬主・生産者協会(Thoroughbred Owners and Breeders Association)の傘下で審査を行なっているAGSCは、2009年の746競走より少ない723競走を審査し、2010年の重賞競走は2009 年の488競走から487競走となった。
By Jeff Lowe
(1ドル=約100円)
[Thoroughbred Times 2009年12月12日「Expansion ends for Grade 1 level」]