海外競馬情報 2010年02月26日 - No.4 - 3
ニューヨーク州、2010年から調教中薬物検査ルールを適用(アメリカ)【開催・運営】

 ニューヨーク州の競馬統轄機関は、2010年1月1日より調教中薬物検査ルールを採用することにより、競馬場以外の厩舎に在厩している馬に対する検査を実施する権限が与えられる。

 ニューヨーク州競馬賭事委員会(New York State Racing and Wagering Board:NYSRWB)のジョン・D・サビーニ(John D. Sabini)会長は声明において、新しい調教中薬物検査ルールはニューヨークで競馬が開催される180日の間、すべての出走馬に適用されると述べた。こ のルールは、馬がニューヨーク州外の厩舎に在厩していたとしてもニューヨークの競馬場から半径100マイル(約160 km)以内の距離であれば、薬物検査を受けさせるためにニューヨーク州の競馬場に馬を輸送するよう、免許を有する馬主か調教師に指示する権限を NYSRWBに与えるものである。

 サビーニ会長はまた、声明の中で、「馬の競走能力を高めるあるいは減退させる悪意をもって薬物が投与されることがあります。新しいルールは、こうした犯 罪者を追跡するのに私たちが必要とする手段を与えてくれます。調教中薬物検査ルールを適用することで、NYSRWBは賭事客を保護するだけではなく、 ニューヨーク州の4つのサラブレッド競馬場と7つの繋駕競走競馬場に出走する優秀な競走馬の健康と安全を保護することができます」と述べた。

 NYSRWBは馬主および調教師に対して、馬が新しい薬物検査ルールが適用される地域にいる場合は、NYSRWBの獣医師が検体を採取することを通告す ることができる。調教中薬物検査ルールを遵守しない調教師あるいは馬主は、業務停止処分、過怠金および免許取消しの可能性を含む厳しい制裁が突きつけられ る可能性がある。

 そのうえ、調教師あるいは馬主が馬に薬物検査を受けさせるよう指示された際にそれに適時に応じることが出来なかった場合、その馬は120日間競走に出走 する資格を剥奪される可能性がある。サビーニ会長は、NYSRWBは調教中薬物検査の作業を調整するために、隣接した州の競馬統轄機関の職員と密接に協力 して取り組むと述べた。

 同会長は次のように語った。「ほとんどの馬主と調教師は、私たちの薬物ルールを几帳面に遵守していますが、中には抜け道を探して、競馬場から離れたとこ ろで馬に薬物を投与すれば捕まる可能性を減らせると思っている者もいます。我々は検査の手を州外にも広めます。私たちのルールに逆らおうとする者は誰で も、私たちが競馬の公正確保を促進するのに非常に真剣であることに否応なく気付かされるでしょう。私たちは、薬物検出量が微量であっても薬物違反行為が あったと判定します(zero tolerance)。我々は不正行為を絶対に見逃さないという明確なメッセージを送っているのです」。

 新しい薬物検査ルールはサラブレッド競走と繋駕競走の両方の競走馬に適用される。検査される禁止薬物には、赤血球増強剤および遺伝子治療薬物、毒素(toxins)や毒液(venoms)を含むプロテインおよびペプチド系薬物が含まれている。

By Blood-Horse Staff


[The Blood-Horse 2010年1月9日「New York Uncorks New Testing Rules Jan. 1」]