海外競馬情報 2010年03月12日 - No.5 - 2
競馬変革プロジェクトの動き:7日間の入場料無料開催を提案(イギリス)【開催・運営】

 RFCのリーダーたちが、競馬場に対しプロジェクトの提案を受け入れるように説得できれば、競馬ファンは合計7日間、入場料を払わずに競馬観戦するチャンスが与えられることになる。

 大規模な競馬振興活動への道を開くため、RFCは4月26日(月)から7日連続で少なくとも1日1競馬場を入場料無料にすることに競馬場側の支持が得られることを望んでいる。

 グッドウッド競馬場が自ら5月1日(土)のゴードン観覧席とレノックス観覧席の入場料を無料とする決定を1月中旬に発表するまで、RFCは1週間の競馬場入場料を無料にする計画の発表を引き延ばされていたようだ。

 ウエストサセックス州にあるグッドウッド競馬場がこの措置を取ったために、RFCはこの計画に土曜日を加えることが可能になった。これはこれまでに英国でなされてきた同様の取組みのなかで、最大のマーケティング効果を挙げるものになると見られている。

 アスコット競馬場もまた、サガロS (G3 3200 m)をメインに7競走が施行される4月28日(水)開催の入場料とグランドスタンドへの入場料を無料とするだろう。

 アスコットとグッドウッドの両競馬場は、先に入場料を無料とする措置を取ったトウスター、ソールズベリー、ウォルヴァーハンプトンの3競馬場に続く形となる。

 トウスター競馬場は長期にわたって入場料を無料とする措置を支持していた。ソールズベリー競馬場はその経営陣が10月にこの構想を試行した際、入場料無 料の日には平均の4倍の入場者を集めた。そして、ウォルヴァーハンプトン競馬場は2010年1月の開催を入場料無料で施行した。

 RFCの消費者関係担当理事ニック・アッテンボロー(Nick Attenborough)氏は1月21日、「私たちは既存の競馬ファンが得をし、一方で新規のファンを獲得する一助とするために、無料で競馬観戦できる ようにしたいと思います。各競馬場はとりわけ2009年のソールズベリー競馬場での試行の成功をうけて、以前よりも入場料を無料とする措置の構想に熱心に なっています」と語った。

 

By Lee Mottershead


入場無料措置に賛否両論

 チャンネル4の競馬評論家ジョン・マクリリック(John McCririck)氏は1月22日、競馬変革プロジェクト(RFC)が競馬場に対して4月最終週を入場料無料にするよう説得する試みを歓迎したが、この提案の長期にわたる影響については懐疑的な様子であった。

 マクリリック氏は、「私はこの計画に大賛成ですが、この競馬振興策にどれぐらいの費用が掛かるのでしょうか?私たちは皆、より安価の入場料を求めていま すが、1年後に多くの入場料無料開催を実施することができるのでしょうか?経済状況が思わしくないので、それは疑わしいのではないでしょうか」と述べた。

 同氏は次のように語った。「人々が競馬場の入場門に押し寄せるでしょうか?ウォルヴァーハンプトン、リングフィールド、サウスウェル、ケンプトンの競馬場が満員になるかどうかは疑わしいです」。

 「RFCは何か名案を考え出さなければなりません。これはまったく独善的で傲慢な計画です」。

 「彼らが何を成し遂げたのでしょう?彼らは一応道理にかなったアイデアを思いつきましたが、熟考しているでしょうか?すべての競馬ファンがどっと押し寄 せた後、再び入場が有料になっても競馬場に足を運んでくれるでしょうか?試行する価値はありますが、1週間で通年にわたる好影響が期待できるのでしょう か?期待できないと思います。結局のところ、私は効果的な考えだとは思えません」。

 マクリリック氏は自身の考えを付け加えた。「ブックメーカーを参加させるよう試みましょう。入場料無料を実施して、その分の金額をブックメーカーが負担 するようにすればどうでしょう。そうすることで、入場料がいくらだとしても、賭事客は支払うはずの入場料と同額の無料の賭金をブックメーカーから提供され ることになります」。

 多くの競馬場は対応を検討している最中であるが、RFCが指定した週に所有競馬場で多くの開催を行うノーザンレーシング社(Northern Racing)は、この提案を支持すると述べている。

 ノーザンレーシング社の運営担当理事であるジュリー・ハリントン(Julie Harrington)氏は次のように語った。「私たちは協力します。私たちが所有する10競馬場がこの計画に加わるでしょう。これが絶対功を奏さないと 言う前に試行してみて、その評価を共有すれば、おそらく競馬産業全体として将来上手くいく計画を考え出す一助となるでしょう」。

 「同じ週に私たちがそれを皆で実行することにより、より良い報道が行なわれ、競馬場に来ることに乗り気になっている人々の1割を惹きつけるチャンスが与えられるでしょう。人々がこの計画がいつ実施されるか知らないことこそが最も大きな障害となるでしょう」。

 

By Jon Lees

[Racing Post 2010年1月22日「Racing For Change calls for seven days of free entry」]
[Racing Post 2010年1月23日「Week of free admission idea has mixed response」]