アイルランドの生産者たちは11月25日、アイルランドのサラブレッドに関する付加価値税率が欧州法を遵守していないとして欧州委員会が実際に法的措置を取った場合の影響について検討を行った。
アイルランドでは、“馬の供給と種付料、グレイハウンド犬の供給と種付料”の付加価値税率は4.8%と定められている。しかし欧州委員会は11月24日、アイルランドの馬産業にはEUで合意されている少なくとも15%の最低付加価値税率が適用されるべきであり、アイルランド政府は税法を修正しなければ高額の罰金を課されると通知した。
バリーヘイン牧場(Ballyhane Stud)の所有者であり、以前アイルランド・サラブレッド生産者協会(Irish Thoroughbred Breeders’ Association)の会長を務めていたジョー・フォーリー(Joe Foley)氏は、「馬産業が厳しい状況下にある時期に、このようなことが起こったのは非常に残念です」と語った。
オークロッジ牧場(Oak Lodge Stud)のパット・フィッツシモンズ(Pat Fitzsimons)氏も、新しい税法は困難な時期において馬産業をさらに締め付けることになるだろうと述べた。
同氏は次のように語った。「種牡馬事業者という私の観点からすれば、いかなる税の引き上げも人々の投資への阻害要因となるでしょう」。
「それは、競走馬を生産する者の種付料をより高くすることになるでしょう。そして生産が高くつくことによって、私たちが最終的に成し遂げようとしている収入および事業への資金投入の増加を難しくするでしょう」。
「私たちはすでに、種牡馬に関する税法の変更(2008年に種牡馬所有者への免税措置を廃止)を行いましたが、それにより牧場入りする種牡馬の頭数の減少と種牡馬への投資家の減少を目の当たりにしました」。
「付加価値税を引き上げることは、牧場経営者が先ず始めに馬を購買しその後種付け権利(nomination)を売却するのをより困難にするでしょう。私たちが必要としているものは、人々の馬産業への投資を促進する何かです」。
「私たちは多くの雇用を創出していますが、すでに経済の低迷に苦しんでいます。需要が減少している市場に馬を売ることになっているので、コスト効率よく仔馬や1歳馬を生産することは難しいと既に感じています」。
「私たちは幸運にも馬を育てるのに理想的な土地を持っており、トップクラスの繁殖牝馬を呼び込んでトップクラスの種牡馬を繋養するために私たちが出来るすべてのことを行うことが重要です。そしてそれが回りまわって雇用を生み出すのです」。
By George Kimberley
(関連記事)海外競馬ニュース2008年No.32「種牡馬所有者への税制優遇措置が失効(アイルランド)」
[Racing Post 11月26日「Irish breeders express concerns over VAT ruling」]