平地競走および障害競走の騎手たちは4月19日、BHA(英国競馬統轄機構)が鞭使用ルールに関して幅広い検討を行っているというニュースをうけて、鞭を引き続き使用することを支持する主張を行った。
騎手協会(Professional Jockeys’ Association)のCEOである元騎手のケヴィン・ダーレー(Kevin Darley)氏は、BHAの競馬開催・規則担当理事であるジェイミー・スティア(Jamie Stier)氏と話合いを持つ予定であるが、レーシングポスト紙が話を聞いた騎手の大多数は、鞭使用ルールの再検討は不要であると確信している。
4月18日のレーシングポスト紙においてデヴィッド・アシュフォース(David Ashforth)氏は、ゴール直前での鞭使用を禁止し、次世代の競馬ファンを離反させないよう競馬界に要求したが、同氏の見解は騎手たちには受け入れられていないようだ。
アットザレーシズ社(At The Races)のウェブ上でのインタビューでダーレー氏は、「スティア氏と話し合いましたが、私たちはBHAに協力するつもりです。私たちは、鞭を使用することおよび観客が鞭の使用方法に満足できるよう鞭使用をさらに規制する方法について話し合わなければなりません」と述べた。
そして次のように続けた。「反応の悪い馬に騎乗して固定障害に向かっていく際には、自然に軽く首に鞭を入れますが、それでうまく飛越することができます。鞭は必要不可欠なものです」。
「もし騎手が鞭を使うことができなかったら、馬が勝手な方向へ走ったり発馬機に入らなかったりすることになります。これは商売道具であり、適度に正しく使用されているならば、使用を認めるべきです」。
多くの成績上位騎手は鞭なしの騎乗に否定的で、その中の1人セブ・サンダース(Seb Sanders)騎手は、「私たちは毎年この問題と向き合わなければならず、誰もがシーズン始めの数週間においてこのことに気を取られます。私は現在の鞭使用のルールはまったく適切だと思います」と述べた。
そして次のように付言した。「すべては馬のためであり、この数年の変革はかなり抜本的なものでした。私は鞭を使用できなくなったら失望します」。
何度も最優秀障害騎手となり、BBCの年度代表スポーツ選手に選出されたトニー・マッコイ(Tony McCoy)騎手は、「私はここ数年の鞭使用の取締りは素晴らしいものであったと考えており、大衆の競馬に対するイメージを向上させるためになされることで良い事であると認識しています。その点に関して競馬が改善できる分野はたくさんあり、それは鞭使用の再検討にとどまるべきではありません」と語った。
キーレン・ファロン(Kieren Fallon)騎手は次のように述べた。「馬格があり反応の悪い馬に騎乗したときには彼らを刺激するために鞭が必要です。私たちは馬を傷つけるために鞭を使うことなどありません。もし当局が必要性を理解して鞭を持つことを認めるということであれば、ゴール直前での鞭使用の禁止はいろんな問題を起こすことになります」。
他の発言者は更に率直であった。クラシック勝利調教師であり、以前騎手であったティム・イースターバイ(Tim Easterby)氏は、「当局がやろうとしていることは、正気の沙汰ではないと思います。当局は鞭使用についての権限は持っていますが、現状のままでいいのです。なぜ当局が議論を巻き起こすのかわかりません」と語った。
引退したクラシック勝利騎手であるジョージ・ダッフィールド(George Duffield)氏は、「これはばかげたことだと思います。動物愛護団体がすべての問題を荒立てているのです。当局には、馬に軽く鞭を使うことをやめさせることよりもやるべきことがあるはずです」と付言した。
By Richard Birch
[Racing Post 2011年4月20日「Jockeys insist there’s no need for whip change」]