賭事を担当するジョン・ペンローズ(John Penrose)観光・文化・遺産大臣が“現在の形式はもはや目的に相応しくなく変更する必要がある”と述べる資金調達体制の抜本的な変更を目指した選択肢を政府が打ち出したことから、賦課金制度に代わる賭事業者と英国競馬界との商業協定締結が、実現に向けて大きな前進をする可能性がある。
5月5日に賦課金に関係するすべての団体に配布された協議前文書には、ペンローズ大臣が以前下院議会での討論で表明した明確な意見が含まれていた。この文書によって、新たな関係を築くために実行可能な3つの解決策が概説され、正式な手順が開始された。
第1の選択肢は、賦課金制度は維持されるが政府はいかなる決定からも除外されるというものである。第2と第3の選択肢は、賦課金制度を廃止するとともに、賭事委員会(Gambling Commission)の免許を条件に発効する直接的な商業協定または著作権と類似の“競馬権”を導入するというものである。
ペンローズ大臣は次のように語った。「解決は簡単ではないでしょう。結局この問題はこれまでに検討されましたが、明確な回答は得られず、私たちは何もできない状況に陥ってしまいました」。
4月1日からの2011年賦課金制度を政府が決定しなければならなかったため、ペンローズ観光・文化遺産大臣とジェレミー・ハント(Jeremy Hunt)文化・メディア・スポーツ大臣の我慢は限界を超えるものとなり、連立政権はその責任から外れることを決意した。
ペンローズ大臣は、「現時点では、政府は好ましい選択肢を持ち合わせていません」と述べた。
また同大臣はさらに意見を次のように述べた。「私は打ち出された選択肢への見解を特に歓迎しますが、同時に競馬界とブックメーカーとの適正なバランスをもたらす法的に妥当な代替案についても聞きたいと思っております。これにより政府はこのプロセスから身を引くことが可能になるでしょう」。
ペンローズ大臣はすべての関係団体に対し、海外インターネット賭事業者の規制について回答する際に政府の別の考えを組み入れるよう要求した。結果は6月13日(月)に賦課金制度の事前協議が終了する前に発表される予定である。
BHAは“競馬賭事権”の選択肢を支持すると考えられているが、その議論から映像権を切り離したいと考えている。一方ベッティング・エクスチェンジ提供会社は、従来のブックメーカーの間に公平な条件を作り出すことに関してはおそらく顔色を変えるだろう。
次の段階は、政府による影響評価であり、3ヵ月間の国民の意見聴取期間が設けられた後に政府はさらなる協議を行うことになる。
ペンローズ大臣は年末までに下院に報告書を提出することを約束したが、すぐに導入することのできる第1の選択肢以外の新制度の実施は基本法が必要となるので、2013年4月より前に実現しそうもなく、おそらくその1年後になるだろう。
ペンローズ大臣が望ましい選択肢を表明しなかったにも拘わらず、第2の選択肢の直接的な商業協定に対して賛否の議論が集中し本命案と目されていたが、ブックメーカーは売上げをベースとした賦課金支払いにほぼ確実に反対するだろう。
他の選択肢よりも詳細に検討されている“可能性のある解決策”は、“競馬賭事客が他のスポーツ賭事に流出してしまうことを防ぐための最小の控除率を提案している。そしてブックメーカーが競馬映像権や賦課金そのものに支払った金額を考慮すれば、それはこの5〜10年の間に英国競馬を対象とした賭事売上げ全体の1.2%ないし1.5%の間で安定している。
現行の賦課金制度に代わる資金調達の3つの選択肢 >>第1の選択肢:現在の賦課金制度を維持するが、決定プロセスから大臣を除外する。その代わりに非政治的で独立した調停プロセスに移行させる。またブックメーカー委員会(Bookmakers’ Committee)と競馬賭事賦課公社(Levy Board)の構成も変更する。 >>第2の選択肢: 2004年競馬賭事・宝くじ法(Horserace Betting and Olympic Lotteries Act 2004)の現行規定に基づき賦課金制度を廃止する。そして賦課金制度は、賭事委員会によるブックメーカーの賭事運営免許の条件として強化され、賭事界と競馬界との商業協定に置き換える。協定は政府によって変更されることはなく、両業界の相互の合意によってのみ変更される。 >>第3の選択肢: 2004年競馬賭事・宝くじ法の現行規定に基づき賦課金制度を廃止する。賭事界と競馬界が政府から独立して商業協定を締結できるよう、著作権と類似の法定の“競馬賭事権”を制定する。 |
By Howard Wright
[Racing Post 2011年5月6日「Government unveils three options for funding plan」]