5月16日にフランスギャロ(France Galop)の理事会(訳注:理事会は、50名の委員から選出された12名で構成されており、任期は4年)が開かれ、2010年の決算が確認されたと同時に、伝統あるロンシャン競馬場とシャンティイ競馬場の将来が話し合われた。
2010年事業年度は、フランスギャロとシュヴァルフランセ(Cheval Français:フランス速歩競走協会)にとって財政的に恵まれていた。これはPMU(フランス場外馬券発売公社)の0.4%の成長及び、2010年春に実施された競馬賭事の控除率の引き下げによるものである。その結果、フランスギャロは1,360万ユーロ(約16億3,200万円)の純利益を記録した。このうち480万ユーロ(約5億7,600万円)は競馬振興のための予備費として確保され、今やその合計は1,840万ユーロ(約22億800万円)にまで膨れ上がる。予備費を今後数年間の賞金支援に充てるというエドゥアール・ド・ロトシルト(Edouard de Rothschild)会長の政策により、賞金基金は中期的に増加し続けるだろう。この経済状況はレース運営だけではなく、ロンシャン競馬場の改築計画にもつながる。現在、建築家の6チームがブーローニュの森に新たな装いで誕生するロンシャン競馬場の建設工事のコンペで候補となっている。これらの建築事務所は9月初めに提案書を再提出することになっている。審査委員会は9月14日に開かれ、選考された建築事務所は10月中旬にフランスギャロと契約を交わすことになる。フランスギャロのアンリ・ド・プラコンタル(Henri de Pracomtal)氏は、建設費が1億ユーロ(約120億円)にもなり得る計画の責任者である。今日、ロンシャン競馬場の建設工事に充てられる特別準備費は5,300万ユーロ(約63億6,000万円)に上る。ロトシルト会長によれば、ロンシャン競馬場の改装は、将来のフランス競馬の発展と名誉のために戦略的規模で行われるだろう。
また、この理事会において、シャンティイ競馬場の人工馬場の敷設工事が棚上げ状態になっていたことで、シャンティイ地域での資金調達が行き詰まっていたが、ようやくゴーサインが出された。シャンティイの市町村共同体は、数週間後にはこの人工馬場のために140万ユーロ(約1億6,800万円)の凍結を解除することになるだろう。7月中旬から年末まで敷設工事が行われ、下半期に開催予定であった10日間の競馬開催は他の競馬場に振り替えられることになる。主要競走の配置については、ヴェルメイユ賞(G1)が開催される9月の第2日曜日に、これまで9月の第1日曜日に施行されているムーランドロンシャン賞(G1)が組み入れられる。同日には凱旋門賞のステップレースであるニエル賞(G2)とフォア賞(G2)が施行される。なおこの変更により、夏から秋にかけての欧州のマイルのG1競走であるジャックルマロワ賞(8月15日)、ムーランドロンシャン賞(9月11日)、クイーンエリザベス2世S(10月15日)の間にはそれぞれ4週間の余裕ができ、マイル路線を進む馬はこれらすべてのレースに出走しやすくなる。
また今回の理事会は、委員会(訳注:フランスギャロ委員会は、馬主、生産者、調教師、騎手、各地方競馬連合会および地方審査会の代表、参与会員、特別会員からなる50名で構成)が施行規程にいくつかの新しい規定を提案することについて承認した。
By François Hallopé
(1ユーロ=約120円)
[Paris Turf 2011年5月22日「Longchamp et Chantilly en devenir」]