薬物規制標準化委員会(Racing Medication and Testing Consortium: RMTC)の理事会は8月4日、フロセミド(サリックス、製剤名:ラシックス)は競走日においては競馬統轄機関の獣医師だけが投与できるという要件を支持することを可決した。
理事会はまた、補助的抗出血薬物の排除、安全対策の強化および薬物違反へのより厳格な罰則制度を支持することを可決した。
NTRA(全米サラブレッド競馬協会)のアレックス・ウォルドロップ(Alex Waldrop)理事長は、RMTCのフルセミドと補助的抗出血薬物の投与について研究する委員会がまとめた勧告を発表した。RMTCの理事会はその提案を承認し、それを実行に移すために北中米競馬委員会協会(Association of Racing Commissioners International: RCI)に提示する「モデルルール」を作成することを承認した。
ウォルドロップ理事長は、「このモデルルールは、競馬統轄機関が競走日のフロセミド投与に責任を持つように策定されます。競走日における補助的抗出血薬物を含む他のいかなる薬物の投与も厳格に禁止されるべきでしょう。これらのステップによって、競走当日の民間の獣医師の関与は必要なくなるでしょう」と語った。
RMTCの副会長であり、ホースメン協会(Thoroughbred Horsemen’s Association)のCEOであるアラン・フォアマン(Alan Foreman)氏は、RMTCの罰則指針委員会の取り組みについて報告した。罰則指針委員会の提案に基づき、RMTCの理事たちは次の事柄を可決した。
(1) 競馬統轄機関がフェニルブタゾン(phenylbutazone)の閾値を5 mg/mlから2 mg/mlとするための検討期間を2012年6月1日までとする。
(2) 統一された罰則指針をすべての競馬管轄区に適用する。
(3) 現在1年間とされているカテゴリーBに属する禁止薬物使用への業務停止処分の期間を、どの競馬管轄区においても2回目の違反では2年以内とし、3回目の違反では5年以内とする。
(4) 米国競馬においてすべての陽性検査で要求される検査所での検出レベルのリストを作成する。
(5) 適切に対応するための使用禁止期間の指針と、承認された治療目的薬物のリストを作成する。
RMTCの副会長でありサラブレッド競馬協会(Thoroughbred Racing Associations)の上席副会長であるクリス・シャーフ(Chris Scherf)氏は、2歳馬へフロセミドを使用することを禁止するパイロット計画の実現に取り組むRMTCの委員会の報告書を提出した。(この委員会は引き続きこの問題について取り組むだろう)。
全米馬臨床獣医師協会の競馬委員会(American Association of Equine Practitioners Racing Committee)の委員長であるスコット・パーマー(Scott Palmer)博士は、保安・監視委員会についての報告を行ったが、その中には示された監視策に対する批判的見方と、競走当日の監視体制を高めるための最低限の水準が含まれていた。保安・監視委員会は、検討すべき競馬界のための監視体制の水準に関する最良モデルを作り出すだろう。
RMTCの会長であるロバート・ルイス(Robert Lewis)博士は、「理事会は本日、多くの重要な勧告を承認しました。そして取り組みを続行するにあたり、4つの委員会すべての責務が拡大されました。これは非常に生産的な会合であり、私たちは10月6日の理事会でこれらの委員会から追加的な提案が出されることを楽しみにしています」と語った。
RMTCの理事たちはこの他に、RMTCのプロジェクトマネージャーであるグレッグ・スコギンス(Gregg Scoggins)博士が主導している薬物検査と、現在行っている治療目的薬物投与と閾値レベル研究についての取り組みの最新情報を聞いた。
[thoroughbredtimes.com 2011年8月4日「RMTC approves new policy recommendations on Salix」]