ベットフェア社(Betfair)が提供するようなベッティング・エクスチェンジを利用している賭事客は、それをリスク分散の手段として利用するブックメーカーを含め、賦課金を支払う義務はない、との法的見解が出されたが、この法的見解は、ベッティング・エクスチェンジの利用客は手数料を支払うべきだとするBHA(英国競馬統轄機構)の主張に大打撃を与えるように思われる。
王室顧問弁護士であるマイケル・フォーダム(Michael Fordham)弁護士とパニック卿(Lord Pannick)の見解は、1963年賭事・ゲーミング及び宝くじ法(1963 Betting, Gaming & Lotteries Act: 旧賭事法)の賦課金の規定は、ベッティング・エクスチェンジには適用されない、というものである。
ベットフェア社は3月9日夜、王室顧問弁護士たちがこの問題に関して唯一道理に適った判断を下したと語った。一方BHAは、ベッティング・エクスチェンジによる資金提供が“賦課金の定義上の理由”で増加しないのであれば賦課金制度は変更されるべきであると述べた。
競馬賭事賦課公社(Levy Board: 賦課公社)は3月9日夜、ベッティング・エクスチェンジ利用客が賦課金を課されるべきかどうかについてすべての関係者と話し合うため2010年7月に広範囲かつ継続的な協議プロセスの一環として開始した調査の結果を発表した。
フォーダム弁護士もパニック卿も、ベッティング・エクスチェンジの利用客は従来型のブックメーカーとは異なり、賭事や賭事取引を促進したり、手配したり、成立させたりしておらず、その代わり、彼らは賭事情報サービスを提供するベッティング・エクスチェンジに頼っていると結論付けた。このことは、ベッティング・エクスチェンジを利用している従来型のブックメーカーにもあてはまる。
ベットフェア社のマーチン・クラッダス(Martin Cruddace)法規担当部長は、「理解できないレトリックではなく冷静な証拠に基づく法的な分析が考慮されれば、ベッティング・エクスチェンジとその利用客はあらゆる賭事業者の利用客と同じように扱われなければならないという結論が唯一道理に適ったものです」と語った。
しかし、BHAのCEOニック・カワード(Nic Coward)氏は、「純然たる事実として、競馬界、政府および他のあらゆるタイプの賭事業者が、ベッティング・エクスチェンジの取扱いに関して均等な機会を必要としていることは明らかです。そのことによって、ベッティング・エクスチェンジの活動は現在よりもはるかに多くの貢献ができるようになるのです。もし賦課金の定義上の理由で賦課金制度を通じた適正な収入が達成されないならば、賦課金制度は変わらなければなりません」と語った。
そして、「それまでの間、私たちはこれらの法的見解を政府と賦課公社とともに詳細にわたって分析するでしょう」と付言した。
賦課公社のメンバーは、今度の理事会で提起される意見と課題を検討することになる。
賦課公社のCEOダグラス・アースキン-クラム(Douglas Erskine-Crum)氏は、「理事会メンバーは現在このことを検討しようとしており、私たちは4月9日までにコメントを募りました。そして賦課公社は、その後の会合においてこれらの助言を受けてどう対応するかを決定することになるでしょう」と語った。
By Jon Lees
[Racing Post 2011年3月10日「Exchange users should not have to pay levy, legal report concludes」]