長期間にわたりケンタッキー州レキシントンで開催されたキーンランド9月イヤリングセールは、9月21日に閉幕した。平均価格と中間価格は3年連続で増加した。平均価格は2011年から14.2%増で、中間価格は2006年の記録に匹敵する目覚ましい50%増を達成した。
一方売上げは、落札頭数が13.9%減少したもののわずか1.7%の減少であった。主取率は昨年の20.8%から19.2%に減少した。
キーンランド協会(Keenland Association)のセリ担当理事であるジェフリー・ラッセル(Geoffrey Russell)氏は、このセールの最終セッションとなる第11セッションを終えて、「最初から最後まで素晴らしいセールでした。私たちは生産界を立て直すために、素晴らしく強固な基盤を得たと考えています」と語った。
最終的な結果は、1歳馬2,516頭の売却により、2億1,978万1,500ドル(約175億8,252万円)の売上げとなった。 平均価格は8万7,354ドル(約699万円)であり、中間価格は4万5,000ドル(約360万円)であった。平均価格は、2008年の9万984ドル(約728万円)以来最も高い水準であった。
100万ドル(約8,000万円)以上で落札された1歳馬は7頭で、昨年より1頭増加した。G1馬ムシュカ(Mushka)を母とするディストーテッドヒューマー(Distorted Humor)産駒が最高額の165万ドル(約1億3,200万円)で落札され、昨年の最高額140万ドル(約1億1,200万円)を上回った。
このセールの統計で最も注目すべき点は、昨年の高額購買者上位5者のうち3者、つまり1位だったモハメド殿下(Sheikh Mohammed)の馬購買顧問ジョン・ファーガソン(John Ferguson)氏、2位だったベンジャミン・レオン(Benjamin Leon)氏のベシルステーブル (Besilu Stables)、5位だったフランク・ストロナック(Frank Stronach)氏のアデナスプリングス社(Adena Springs)が、まったく購買しなかったか大幅に控えたことである。
ラッセル氏は、「私たちはその穴をうまく埋めたと思います。期間中会計担当の女性たちがこんなに忙しかったことはありませんでした。新規の顧客および数年間のブランクの後に戻ってきた顧客の参加を得ました。また新たな市場活性化プログラムはこのセールの成功に大きく寄与しました。私たちが今年時間をかけて働きかけを行った海外の市場から、参加者が増加しました。9月16日(日)以後、海外から前例のないほど多数の購買者を迎えました。また国内の購買者は期間中ずっと多かったです」と語った。
ラッセル氏は、海外からの購買者の支出額について具体的な情報を提供することには応じず、「その購買者がどの国から来たのかは明らかにできません。なぜ競争相手に購買者の居場所を教えなければならないのでしょうか」と語った。
ドバイのハムダン殿下(Sheikh Hamdan)は、支出額でトップバイヤーとなった。同殿下はシャドウェルエステート社(Shadwell Estate Co.)名義で1歳馬17頭を825万ドル(約6億6,000万円)で購買した。
ランタンヒルファーム(Lantern Hill)のスージー・シューメーカー(Suzi Shoemaker)氏は、セール後半で馬を売却し、ここ2〜3年にくらべて市場が堅調であることに満足していた。
同氏は、「セリカタログのブック6の上場馬にこれまでで最も多くの人々が集まりました。非常に多くの新規購買者があり、多くの聞きなれないアクセントが聞こえました。まさに、すべての馬にかなりの購買者がつきましたが、誰もが夢中になっていたとは思いません。そうだとしても、昨年よりはずっと良い結果でした」と語った。
最終セッションでは、1歳馬146頭が、180万5,000ドル(約1億4,440万円)で購買され、平均価格は1万2,363ドル(約99万円)、中間価格は7,500ドル(約60万円)、主取率は7.6%であった。
スラムズオナー(Slam’s Honor)を母とするジャコモ(Giacamo)産駒ブリッシュ(Bullish)はその日の最高額である5万ドル(約400万円)で落札された。この1歳馬は購買仲介者のテーラーメードセールスエージェンシー社(Taylor Made Sales Agency)によって上場され、トラビス-モージソン6世(Travis-Morgeson VI)が購買した。
マクマホン&ヒル・ブラッドストック社(McMahon & Hill Bloodstock)のマイク・マクマホン(Mike McMahon)氏は、「ただただ素晴らしいセールでした。最終セッションに馬を上場させた売り手は、特に好調なセールを期待していました。これは単純に需要と供給の問題ですが、上場馬が昨年より少ない一方、買い手は昨年と同数あるいはそれ以上でした。秋になれば、人々はおそらく久しぶりに繁殖牝馬を買うことを検討するでしょう。彼らは柵を立て、馬房を修理するでしょう」と語った。
テーラーメードセールエージェンシー社のマーク・テーラー(Mark Taylor)氏は、このセールを“素晴らしい”と表現した。同社は、このセールの総受取額におけるリーディングコンサイナーとなり、1歳馬242頭を2,375万2,000ドル(約19億16万円)で売却した。
テーラー氏は、「所有馬が尽きているという実感を人々が持っている中で私たちは注文に応じる必要があるため、私はセリの前、需要が昨年と変わらなければセリは好調を維持するだろうと考えていました。そして、モハメド殿下の馬購買顧問であるファーガソン氏が代表を務めるダーレー社がほとんど購買しなかったことは私にとって驚きでした。しばらく前であれば、ファーガソン氏が買い控えると壊滅的な売り上げ低下がもたらされるだろうと考えていたでしょう。しかし、その隙間は埋めることができました。このことは、サラブレッド事業、とりわけキーンランド9月セールに回復力があることを示しています」と語った。
そして、「これは世界市場であり、人々は機会があればそれを利用しに来るのです」と付言した。
By Deirdre B. Biles
(1ドル=約80円)
[bloodhorse.com 2012年9月21日「September Sale Ends; Median Equals Record」]