海外競馬情報 2015年03月20日 - No.3 - 6
産駒がカタールで活躍し、ドバウィの国際的影響力が拡大(カタール)【生産】

 世界の主要なセリにおいて極めて高額で購買された馬であったとしても、その価値は後になってからでないとわからない。近年、ダブデイ(Dubday)のような素晴らしい“掘り出し物”は出現していない。

 ダブデイ(父ドバウィ)は2012年10月、タタソールズ社(Tattersalls)の現役セールに上場された。サー・マイケル・スタウト(Sir Michael Stoute)調教師のフリーメーソンロッジ調教場(Freemason Lodge Stables)の選抜馬であったが、アンドレアス・トリブル(Andreas Trybuhl)調教師は、この2歳未出走馬をわずか1万1,000ギニー(約210万円)で購買した。その後1年も経過せず、ダブデイはドイツのG3で3着以内に入り、次に上場された2013年のアルカナ社凱旋門賞セール(サンクルー競馬場)では、シャンティイブラッドストック社(Chantilly Bloodstock)に20万ユーロ(約2,600万円)で落札された。

 カタールでは今や、ダブデイは有名人のようであり、姿を見せるだけで20万ユーロの価値がある。アルシャカブレーシング社(Al Shaqab Racing)の所有、ガシム・ガザリ(Gassim Ghazali)調教師が管理し、カタールでは6戦全勝である。2月26日、ドーハ競馬場でフランキー・デットーリ(Frankie Dettori)騎手を背に、エミールズトロフィー(ローカルG1・2400m)の連覇を果たした。

 最後の直線の入口で馬群に閉じ込められたダブデイは、抜け出すと他馬をひるませるような追い込みを見せ、2014年愛ダービー(G1)4着馬ポンフェイ(Ponfeigh)をクビ差で破った。この優勝はカタール競馬界における最有力馬がダブデイであることを決定したのみならず、マリヌス(Marinous 2010年)、アミコミオ(Amico Mio 2011年)、ランスロット(Lancelot 2012年)およびベリーナイスネーム(Very Nice Name 2013年)に続き、アルカナ社のセリ出身馬によるこのレースの6連覇を達成した。

 また、ダブデイはドバウィの国を越えた影響力を示す良例にもなった。同日、同じくドバウィ産駒であるセーフティチェック(Safety Check)が、メイダン競馬場のザビールマイル(G2)で優勝した。その2日後、豪州のコーフィールド競馬場でシャマルウィンド(Shamal Wind)がオークリープレート(1100m)を制し、ドバウィにとって17頭目のG1勝ち産駒となった。

 2015年始めの2ヵ月間で、すでに12頭のドバウィ産駒がステークス競走で優勝している。シャマルウィンドとダブデイが目立つ一方、豪州の屈強な牝馬キャットキンズ(Catkins)も2月にG2を2勝し、通算成績を29戦14勝とした。キャットキンズとシャマルウィンドはスプリンターであるが、セーフティチェックはマイラーである。ダブデイと2月にドバイミレニアムS(メイダン競馬場)を制したハンターズライト(Hunter’s Light)は、2000m〜2400mを得意としている。

 このようなスタミナとスピードを併せもつ万能性が、長年ドバウィを最高の種牡馬とならしめている理由である。一方、UAE2000ギニーのトライアルを制したムブターヒジ(Mubtaahij)は優秀なダート馬であることから、ドバウィの万能性は競走距離のみに留まらないといえる。なお、ドバウィは2月28日メイダン競馬場で、2頭のダート戦での勝馬[ノロへイ(Nolohay)およびヘンリークレイ(Henry Clay)]を出している。

 ダブデイは、イヴリン・ド・ロトシルト(Sir Evelyne de Rothschild)卿のサウスコートスタッド(Southcourt Stud)が生産した最近の優良馬である。同馬の2代母は、1969年のクリテリウムドプーリッシュ賞(現マルセルブサック賞)の勝馬ヴェラ(Vela)の孫娘であり、1988年生まれのブラッシュランブラー(Blush Rambler 父ブラッシンググルーム)である。

 ブラッシュランブラーは、ジョン・オックス(John Oxx)調教師に管理され、スライゴ競馬場の未勝利戦で優勝した。その後、サウスコートスタッドで1998年ギャルターズS勝馬ランブリングローズ(Rambling Rose 父カドージェネルー)など、8頭の勝馬を出した。さらに、このランブリングローズは、インターナショナルS(G1)、タタソールズゴールドカップ(G1)、エクリプスS(G1)の勝馬ノットナウケート(Notnowcato)を出した。

 ブラッシュランブラーの2003年生れの牝馬デイローズ(Dayrose 父デイラミ)は、スタウト調教師に管理された。比較的短いキャリアで能力を発揮し、2100m以下で6戦2勝した。デイローズの3番目の仔であるダブデイは、現在のところ出走した5頭中の最高傑作である。もう1頭の仔キスフロムアローズ(Kiss From A Rose 父コンプトンプレイス)は、2013年にウォルヴァーハンプトン競馬場で2歳戦を制している。

 デイラミの優秀な繁殖牝馬は増加しつつあり、デイローズはその1頭である。デイラミが種牡馬入り間もない頃に、ギルタウンスタッド(Gilltown Stud)で種付けした牝馬の質を考えれば、その娘を通じてある種の影響を及ぼすことは当然である。デイラミはブルードメアサイアーとして、アルカノ(Arcano)、ピエロ(Pierro)、2014年グランクリテリウム勝馬のヒーロールック(Hero Look)など、17頭のブラックタイプ勝馬を出している。

 ミルリーフ(Mill Reef)のクロスをもつデイラミの牝馬とドバウィの組合せでは、競走年齢に達した産駒7頭のうち、ダブデイ以外に4頭が勝馬となっている。その中には2014年のドイツステークス勝馬2頭、G3馬ナウシカタイム(Nausica Time)、リステッド勝馬ハーティリー(Heartily)がいる。

 ドバウィにとってミルリーフのクロスは、注目するべき効果を示している。このクロスは重賞勝利産駒のうち、アルカジーム(Al Kazeem)やナイトオブサンダー(Night Of Thunder)などの14頭にみられる。

By Nancy Sexton
(1ポンド=約180円、1ユーロ=約130円)

[Racing Post 2015年3月4日「Dubawi’s worldwide influence extends into Qatar with Dubday」]