アスコット競馬場の国際・コミュニケーション担当理事であるニック・スミス(Nick Smith)氏は、海外からの遠征馬が13勝したことを根拠に、「今や、ロイヤルアスコット開催の国際化は達成された」と強調した。
カリフォルニアクローム(California Chrome)の不在と香港チャンピオン馬エイブルフレンド(Able Friend)の凡走は、5日間のロイヤルアスコット開催の国際的な雰囲気を希釈することはなかった。フランス調教馬がG1競走を2勝した他、米国のウェスリー・ウォード(Wesley Ward)調教師は、土曜日にアンドラフテッド(Undrafted)でダイヤモンドジュビリーS(G1)を制し、この開催での2勝目を果たした。
スミス氏は、次のように語った。「1999年のロイヤルアスコット開催のG1競走は、3レースに過ぎませんでしたが、現在では8レースが施行されています。また、以前は欧州馬の参戦による4日開催でしたが、現在では5日開催となり、世界中の馬が参戦するようになりました」。
「一流馬の出走取消をなくす道のりは、気が遠くなるほど長いのですが、今年は10ヵ国から馬が集結し、それらの多くがチャンピオン馬でした」。
「カリフォルニアクロームの馬主にとって出走取消は残念でしたし、エイブルフレンドが本調子であったら素晴らしかったことでしょう。ただ、ロイヤルアスコット開催で優勝することは、並大抵のことではありません。私たちができることは、有力馬を集めることのみです」。
「クイーンアンS(G1)とプリンスオブウェールズS(G1)に、世界中から出走馬を集めることができたことは、大きな前進です。カリフォルニアクロームが不在でも、スピルバーグやクライテリオン(Criterion)などのチャンピオン馬を招致できました」。
「豪州や米国の調教師は、2歳戦にも管理馬を出走させることに強い意欲をもって帰国することでしょう。ロイヤルアスコット開催の他のレースにおいても、信頼を確立し続けることが私たちの仕事です」。
ロイヤルアスコット開催のG1・8レースのうち3レースを施行する第1日目は、“パンチ力をもちすぎる”と異議を唱える者もいるが、スミス氏は、このバランスは適切であると考えている。
「目標に近づいています。ほぼ達成したと言えるでしょう。コモンウェルスカップ(新設G1)は来年も楽しみですし、クイーンズヴァーズS(英L)がG3に返り咲くことを望んでいます。どのレースも、悲観的になる必要はありません」。
「全レースの売上げを調べる必要がありますが、伝統的なビッグレースを第4レースとして施行し、その後に、大規模なハンデ戦を第5レースとして施行することには、良い感触を得ています」。
ガイ・ヘンダーソン(Guy Henderson)氏は、アスコット競馬場CEOとして臨んだ初めてのロイヤルアスコット開催について、次のように語った。「今開催において、海外からの遠征馬が記録的な成功を収めました。最多記録であった2012年の11勝に対し、今年は13勝でした。世界中から出走馬を集められるほど、ロイヤルアスコット開催を広範囲にアピールできました。入場者数は増加し、約150ヵ国でテレビ放映されました」。
スミス氏は、「チャンネル4(Channel 4)は、まだ視聴率を発表していませんが、昨年と同様とみています。素晴らしい中継でした」と付言した。
米国のウェスリー・ウォード調教師の ロイヤルアスコット開催での成績 |
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出走馬 | 勝利数 | |
2009年 | 7頭 | 2勝 |
2010年 | 1頭 | 0勝 |
2011年 | 5頭 | 0勝 |
2013年 | 3頭 | 1勝 |
2014年 | 6頭 | 1勝 |
2015年 | 9頭 | 2勝 |
ロイヤルアスコット開催の入場者数 | |||
2013年 | 2014年 | 2015年 | |
火曜日 | 4万6,359人 | 4万6,047人 | 4万7,250人 |
水曜日 | 3万8,758人 | 4万 459人 | 4万1,091人 |
木曜日 | 6万1,954人 | 6万5,419人 | 6万5,215人 |
金曜日 | 5万9,687人 | 6万4,123人 | 6万8,471人 |
土曜日 | 7万2,694人 | 6万9,783人 | 7万1,276人 |
合 計 | 27万9,452人 | 28万5,831人 | 29万3,303人 |
数字で見るロイヤルアスコット開催 | |
8-15(1.53倍) | 1番人気でセントジェームズパレスS(G1)を制したグレンイーグルズ(Gleneagles)のオッズ。 |
8-11(1.73倍) | 1番人気でデュークオブケンブリッジS(G1)で敗れたインテグラル(Integral)のオッズ。 |
3頭 | ハンデ戦優勝馬8頭のうち、観客席に1〜2番目に近い枠から出走した馬の数。 |
2勝 | 今シーズンいっぱいで引退するリチャード・ヒューズ(Richard Hughes)騎手の勝利数。 |
7馬身 | クイーンアレクサンドラS優勝馬オリエンタルフォックス(Oriental Fox)の2着馬との着差(今開催最大着差)。 |
15レース | 着差が半馬身以内であったレース数。 |
8勝 | アイルランド馬の勝利数(タイ記録)。 |
10レース | 1番人気馬が優勝したレース数。 |
9勝 | ライアン・ムーア(Ryan Moore)騎手の勝利数。 |
By Mark Storey
[Racing Post 2015年6月22日「Smith: royal meeting now a global success」]