32歳のグリーンデザート(Green Desert 父ダンジグ)は、繋養先のナンリースタッド(Nunnery Studノーフォーク州)で、老衰のために安楽死措置が採られた。過去25年間で最も影響力の強い種牡馬の1頭であった。
グリーンデザートは、マクツーム殿下(Sheikh Maktoum)に所有され、1986年に英2000ギニー(G1)でダンシングブレーヴ(Dancing Brave)の2着となり、その後ジュライカップ(G1)で優勝した。そして1990年に現役を引退し、ハムダン殿下(Sheikh Hamdan)のシャドウェル牧場(Shadwell Stud)が所有するナンリースタッドで、穏やかな種牡馬生活を過ごし、2011年に種牡馬を引退した。
シャドウェル牧場のリチャード・ランカスター(Richard Lancaster)場長のグリーンデザートとの付き合いは、同馬が1歳のときに遡る。9月9日、同場長はグリーンデザートを哀悼し、次のように語った。
「グリーンデザートは小柄でしたが大らかな性格で、シャドウェル牧場の皆に愛され尊敬されていました」と語った。
「経営陣を代表し、まずグリーンデザートを世話したフィル・ヴァーノン(Phil Vernon)氏、ロン・ロット(Ron Lott)氏、ベラ・クリストフ(Bela Kristoff)氏に感謝したいと思います。グリーンデザートが長寿を全うできたことは、入念なケアを行った彼らの手柄です」。
「グリーンデザートが世界中の生産者の皆様から頂いた支援に感謝します。シャドウェル牧場が所有していなくても、私たちはいつも彼を看板種牡馬と思ってきました。彼に関わることができたことを大変誇りに思います」。
ランカスター場長は次のように付言した。「グリーンデザートに関わった全ての人々にとってつらい時であることは言うまでもありません。卓越した競走馬、革新的な種牡馬、近代サラブレッド競馬と競走馬生産に影響力を持ち続ける種牡馬として、グリーンデザートが人々の記憶に留められることを望みます」。
優秀な競走馬であり、欧州で初めて供用されたダンジグ産駒として、グリーンデザートはつねに人気種牡馬であった。供用初年度の種付料は2万5,000ポンド(約463万円)で、種付予約は一杯となった。
グリーンデザートはあまり多くには種付けせず、2003年の88頭が最高であった。しかし、そのことは1990年に勝馬を12頭出してリーディング初年度種牡馬になることを妨げなかった。
グリーンデザートは、G1馬12頭とステークス勝馬90頭以上を送り出した。G1勝利産駒のうち、ケープクロス(Cape Cross)、インヴィンシブルスピリット(Invincible Spirit)、オアシスドリーム(Oasis Dream)は種牡馬として素晴らしい成績を収めている。
ケープクロスは、ゴールデンホーン(Golden Horn)やシーザスターズ(Sea The Stars)のダービー馬2頭と、オークス馬ウィジャボード(Ouija Board)を出している(なお、シーザスターズは初年度産駒からG1馬3頭を出している)。インヴィンシブルスピリットは、チャームスピリット(Charm Spirit)、キングマン(Kingman)などG1馬12頭を出している。オアシスドリームは、今年の驚異的なスプリンターであるムハーラー(Muhaarar)などG1馬14頭を出している。
2004年と2005年に種付料が8万5,000ポンド(約1,573万円)に上ったグリーンデザートは、優秀なブルードメアサイアーでもある。同馬の牝馬は、G1馬のブレスレット(Bracelet)、ラッキーナイン(Lucky Nine)、マクフィ(Makfi)、ウォズ(Was)を出した。
By Bloodstock World Staff
(1ポンド=約185円)
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[Racing Post 2015年9月9日「Legendary sire Green Desert dies aged 32」]