ニューヨーク州ゲーミング委員会(New York State Gaming Commission: NYSGC)は2月29日、体内で自然に生じることのない外因性アナボリック・ステロイドのスタノゾロール(stanozolol)の使用を禁止することを決定した。スタノゾロールは、これまで一定の閾値内での使用が認められていた唯一の外因性アナボリック・ステロイドであった。
昨年提案されていたスタノゾロールの体内残留を一切禁止するルールを、NYSGCは最終決定した。この発表以前に合法的に投与されたスタノゾロールが馬の体内から消滅する時間を与えるため、ルールの発効は6ヵ月後となる。
昨年12月、ニューヨーク州公報(New York State Register)に記載されたNYSGCの分析によれば、「健康な競走馬にこの薬物を投与する正当な理由はなく、罹病あるいは負傷した馬に対しては、承認された他の方法がある」。
さらに、「新ルールは、競走馬の健康・安全および競馬の公正確保を強化するのに寄与する」と記されている。
ニューヨーク州競馬施行規程のアナボリック・ステロイドに関するルールでは、馬の体内で自然に生じる3種類の内因性物質の体内残留は許容されている。「スタノゾロールは、NYSGCが禁止せずに一定レベルの使用を許容している最後の外因性アナボリック・ステロイドである」と、ニューヨーク州公報に記されている。
NYSGCの相談役エドムンド・バーンズ(Edmund Burns)氏は、NYSGC理事会宛ての最近の書簡において、「この薬物は消滅期間が数ヵ月にも及ぶという理由だけで、当初から、一般的なアナボリック・ステロイド使用禁止の例外となっている」と述べた。バーンズ氏のこの書簡が届いた当時(2月10日)、NYSGCは意見募集期間中であったが、ある獣医師からこう記された一通の書簡を受け取っていた。「ステロイドは適切に使われれば、獣医学において有益である」。
バーンズ氏は、「ニューヨーク州は全米の規程と足並みを揃えるため、このルール変更を行う」と述べた。
By Tom Precious
[bloodhorse.com 2016年2月29日「NY Regulators Ban Use of Anabolic Steroid」]