海外競馬情報 2017年10月20日 - No.10 - 2
パリ会議:フランス、大多数の国と走行妨害ルールを統一(フランス)【開催・運営】

 欧州の走行妨害についてのルールが統一され、競馬ファンはもうすぐ安心して馬券を購入できるようになる。フランスギャロ(France Galopフランスの競馬統轄機関)は、英国、アイルランド、そのほか大多数の競馬国・地域(米国以外)と同じルールにすることを決定したのだ。

 フランスは長年、大多数の国で適用されている走行妨害ルールを順守することに抵抗していた。そのため、競馬関係者やファンは困惑させられていた。しかし、IFHA(国際競馬統括機関連盟)の競馬と生産および賭事に関する国際協約(International Agreement on Breeding, Racing and Wagering:IABRW)に新しい条項が導入されるに際し、フランスは譲歩することとなった。

 南アフリカの裁決委員ロブ・デ・コック(Rob de Kock)氏が最初にルールを統一するこの複雑な交渉に着手した。その後10年間の紆余曲折を経て、香港ジョッキークラブ(Hong Kong Jockey Club)の有給裁決委員キム・ケリー(Kim Kelly)氏の下でこの交渉がまとめられた。IFHAの競走当日ルール統一委員会(Harmonisation of Raceday Rules Committee)がモデルルールを起草し、執行協議会は10月3日にこれを満場一致で承認した。それはIABRW第32条となる。

 "騎手が危険な騎乗をしたと見なされる場合に当該馬を失格にする"という一文もこの条項に挿入された。これはフランスの主張を受け入れたもののようだ。いずれにせよ走行妨害があった際に、その妨害行為がなくても被害馬は加害馬に先着できなかったと判断される場合は、到達順位は変更されないというのがこの条項の文言の本質である。

 この方針は「カテゴリー1」とされる。これとは対照的な「カテゴリー2」では、どのような走行妨害もその被害馬の後ろに降着という結果になりやすいとみられている。

 フランス、ドイツ、米国の大半の州はこれまで「カテゴリー2」にとどまっていた。フランスの競馬当局は"優勝するのに相応しい馬"を擁護することよりも、エキゾチック馬券(3連単など組合せが多く高額配当が期待できる馬券)の人気の高さを引合いに出していた。

 IABRWに拘束力はないが、個々の条項に署名しなければその統轄機関は目立つことになる。ドイツは新しいルールに沿って立場を変えると見込まれていたので、米国の大半の州以外では、フランスが孤立することになると思われていた。

 ところが、フランスギャロは10月3日の夕方、急に決意を翻す声明を発表した。そのルールを導入する時期はまだ決定されていない。

 声明にはこう記されていた。「IFHAの主導で幅広い協議が行われ、フランスギャロの取締役会はこの協議の間にこれらの方針を承認することを決定しました。フランスで新ルールを導入するには、既存のルールの文言との調和が求められます。これについては年末に取り組まれます。これらのルールの正確な導入日はその後決定されるでしょう」。

 以前フランスギャロの事務総長を務めていたIFHAのルイ・ロマネ(Louis Romanet)会長は、フランスギャロがこの決定を明らかにする前に本紙にこう語った。「フランスがメンバーであるIFHA執行協議会において、モデルルールは満場一致で採択されました。そのルールに従うのは理にかなっています」。

 ロマネ会長はIABRWの進展を"IFHAの大きな功績"とし、こう付言した。「競走当日ルールのさらなる統一は、世界中でファン層を拡大するためには大切なことです。それにサイマルキャスト賭事とコミングリング賭事にとって不可欠だと考えられています。また、競馬が収益を上げるために、これはますます重要になっています」。

 「競走当日ルール統一委員会はその発足時から、大多数の競馬国・地域で生じた異議や申立てを裁決する上で共通したアプローチを取るために、懸命に取り組んできました。私たちはやるべきことを遂行したので、今やIABRWに署名することが各国に委ねられています」。

 ロマネ会長はまた、IABRW第32条は、「パッド入り鞭/衝撃吸収型鞭/いかなる改造も加えられていない鞭だけがレースで使用可能」という規定を含むことにより、より多くのタイプの鞭を対象とすることができると述べた。

By Howard Wright and Scott Burton

[Racing Post 2017年10月3日「France finally comes into line with Britain and Ireland on interference」]