フランスギャロ(France Galop)は女性騎手に2キロのアローワンス(減量制度)を適用することで、主要競馬統轄機関として初めて女性騎手にアドバンテージを与える。エドゥアール・ド・ロトシルト(Edouard de Rothschild)会長は、"公平性"ではなく"チャンス"を与えるためにこの措置は取られると述べた。
このアローワンスは3月1日から適用され、平地・障害のクラス1より下位のレースのほぼ全てが対象となる。リステッド競走(準重賞)と重賞、およびカンテプリュス(5連単・5連複馬券)が発売されるハンデ戦は例外となる。それでも、全競走の90%にこのアローワンスが適用されることになる。
フランスにおいて平地重賞を優勝した女性騎手は、まだ1人しかいない。それは、2015年ヴィシー大賞(G3)をロトシルト家所有のエリプティック(Elliptique アンドレ・ファーブル厩舎)で制したアメリー・フーロン(Amélie Foulon)騎手である。
公平・不公平は問題ではない
毎年フランスの騎手学校に入学する生徒のうち60%は女性であるが、2016年に平地競走で20勝以上挙げたのはマリリンヌ・エオン(Maryline Eon)騎手とルアナ・ララン(Luana Lalung)騎手だけであり、障害競走においては20勝以上挙げた女性騎手はいない。
ロトシルト会長はこう語った。「女性あるいは男性がこれを公平と感じるかどうかは問題ではありません。女性騎手に2キロのアローワンスが適用されることで、調教師が馬主に"調教でこの馬にとても上手く乗る女性騎手がうちの厩舎にいます。アローワンスがあるので、男性騎手を乗せるのと同様のチャンスがあるでしょう"と言いやすくなるかどうかが論点です」。
「女性騎手に騎乗機会をもっと与えることがポイントです。これにより、女性騎手は一層多くの経験を積み、より高いレベルに到達するようになるでしょう」。
この措置は、女性騎手の騎乗機会を増やすことを目的としている。しかし批評家は、「 "鞍上では男性も女性も平等"という認識を確立するための戦いにおいて、このアローワンス適用は敗北を認めることになる」と主張するだろう。
フランスが先駆けとなる
ロトシルト会長は、前回の任期中(2003年~2011年)に女性騎手限定のレースを導入したが、今回の措置についてこう語った。「この方針は米国や英国で採用されていません。今回はフランスが先駆けとなります」。
「1年~2年後に状況の変化を確認し、その効果を評価することができます。100人の女性騎手のうち男性騎手と渡り合えるほどの強靭な騎手が10人いるかどうかを長々と議論することはできますが、現在問題となっているのは女性騎手にもっと多くの騎乗機会を与えることです」。
「フランスの騎手学校や調教場には、プロの騎手としてチャンスを与えられるべき女性が沢山いると確信しています」。
フランスでは昨年11月にサンクルー競馬場において、女性騎手限定のカンテプリュスが発売されるハンデ戦が初めて施行された。このレースは競馬メディアの関心を大いに引き付け、売上げを押し上げた。
By Scott Burton
(関連記事)海外競馬ニュース 2015年
No.31「フランス初の女性騎手による平地重賞優勝(フランス)」、
No.46「トニー・マッコイ氏、女性騎手への減量制度適用を提案(イギリス)」
[Racing Post 2017年2月3日「France Galop set to award female riders a 4lb allowance」]