2017年の競馬産業の経済指標は、高額配当の的中馬券の源泉徴収と申告に関する税制の変更が発売金を増加させる一助となったことを示している。この税制の変更は、年末が近づくにつれてやっと効果をもたらした。2018年には一層大幅な発売金増加が見込めるはずだ。
2017年の全米発売金は109億ドル(約1兆1,990億円)を超えた。対前年比1.59%増で16年間において最大の増加幅。3年連続の増加である。
年間では対前年比1.59%増だが、第4四半期に限れば対前年同期比2.32%増、12月に限れば対前年同月比3.85%増となり、終盤に近づくにつれて増加幅が大きくなった。これは9月後半に発効した税制の変更が効果を発揮しだしたことを示している。
払戻金の源泉徴収と税の申告は301倍以上の配当があった場合に義務付けられているが、新しい税制では、一般的に多くの組合せが購入されるエキゾチック馬券(訳注:3連単など高額配当が見込める馬券)についての「301倍」の定義を変更した。以前は1つの買い目の購入額につき301倍としていたが、今後は1枚の同一式別に投票された合計購入額の301倍とされる。この新しい定義により、源泉徴収と申告を要する的中馬券は著しく減少し、馬券購入者の手元により多くのお金が残ることになる。
NTRA(全米サラブレッド競馬協会)の理事長兼CEOのアレックス・ウォルドロップ(Alex Waldrop)氏はこう語った。「エクイベース社が報告した全米発売金の3年連続の増加は、競馬界と生産界にとって前向きな経済指標です。また第4四半期の発売金の一段の増加は、同時期の後半に課税賭事収益の源泉徴収の申告件数が95%~98%減少したという報告と相関しています」。
「堅調な経済、大幅な税制改正、9月後半に変更された源泉徴収と申告に関する税制が通年で適用されることで、私たちは2018年に発売金の増加傾向が続くことに大きな期待を持っています」。
開催日数は対前年比2.06%減の4,573日となったが、2017年の発売金は増加した。この結果、1日当たりの発売金は対前年比3.73%増の238万4,351ドル(約2億6,228万円)となった。
開催日数の減少は、発売金の一層の増加を抑制する要因となった。この3年間、発売金は増加し続けたが、どの年も増加幅は2%を超えなかった。そしてこの3年間の増加は、2006年~2010年の発売金減少を埋め合わせるには不十分であった。その期間、発売金は147億8,500万ドル(約1兆6,264億円)から40億ドル以上減少して107億7,000万ドル(約1兆1,847億円)となっていた。
また、2017年の開催日数と競走数(1.71%減の3万7,628競走)の減少は、賞金総額の低迷の一因となった。 2017年、米国の賞金総額は0.37%減の10億7,973万9,805ドル(約1,187億7,138万円)となり、5年連続で減少した。各年の減少率は1.6%を超えることはなかったが、2012年から合わせれば4.26%減少している。
By Frank Angst
(1ドル=約110円)
[bloodhorse.com 2018年1月5日「Handle on U.S. Races Improves for Third Straight Year」]