ロイヤルアスコット開催では、今年からハロンタイムが表示されるようになった。また来年には、香港との共同パリミューチュエル賭事プールの運営が開始される。アスコット競馬場はこれらの顧客サービスにより、英国で最も有名な競馬の祭典が今後も確実に繁栄し続けることを望んでいる。
アスコット競馬場の競走・渉外担当理事であるニック・スミス(Nick Smith)氏は、ロイヤルアスコット開催最終日がNBCチャンネル(米国3大ネットワークの1つ)で"画期的なかたちで"放映されたことと、他の開催日も世界中のメディアで大きく取り上げられたことを称賛した。
ハロンタイムの表示は、海外の賭事客や観客にとってはおなじみのツールであるが、ロイヤルアスコット開催では今年初めて試行ベースで利用することができるようになった。また、アスコット競馬場を世界中の顧客にアピールするために、今後数ヵ月以内に大々的な発表が行われるだろう。
スミス氏はこう語った。「ハロンタイムは、世界の他のすべての競馬国で提供されています。とりわけ私たちは海外に向けて、メディア権や賭事権を販売しようとしているので、英国競馬が遅れを取ることは受け入れられません」。
「私たちは試行ベースで速度測定システムを立ち上げました。今後どのようなペースで改革と新発想を取り入れていくのか検討していきます。英国でこの種のデータを利用できるときがようやく来ました」。
2019年ロイヤルアスコット開催で、この新しい速度測定システムの正式な導入や放映の拡大と同時に、強固なプール賭事"アスコットワールドプール(Ascot World Pool)"の運営が開始されるのは野心的な試みである。香港ジョッキークラブ(Hong Kong Jockey Club)やトートスポーツ社(Totesport)と提携して運営されるこのプールは、英国における取引総額を現在の約2,000万ポンド(約30億円)から約7,500万ポンド(約112億5,000万円)に増加させることが見込まれる。
スミス氏はこう語った。「"アスコットワールドプール"は、従来の賭事プールを全く異なるものに変えるでしょう。これは英国においてプール賭事に対する信頼を裏付ける取引総額をもたらすものなので、私たちは取引が活発で強固な賭事プールを持つことになるでしょう」。
「その上、私たちは今年のロイヤルアスコット開催のうち4日間を香港のテレビで放映しました。来年は全5日間を放映する予定です。一方、米国NBCチャンネルとの契約は、英国競馬界がこれまで締結してきた放映に関する契約の中でも最高なものの1つです」。
「まるで誇大広告のように聞こえるかもしれませんが、ロイヤルアスコット開催をNBCの主要チャンネルで見るということは、ブリーダーズカップやケンタッキーダービーをITVの主要チャンネルで見ることに匹敵します。これはロイヤルアスコット開催の注目度を大幅に高めています。開催全体がNBCスポーツチャンネル、それも主要チャンネルで放映されたのは画期的なことです」。
英国の競馬場において観衆の不正行為が生じたことを受け、アスコット競馬場はゼロ・トレランス措置(いかなる違反も許さない措置)を発表した。これが寄与して、数人によるコカインとエクスタシーの持込みはあったものの、ロイヤルアスコット開催は全体的に事件のない平穏なものとなった。
スミス氏はこう語った。「30万もの人々が来場するわけですから、非合法薬物を持つ人が入ってもすべて取り締まりきれません。また、スポーツ会場もしくはレジャー施設でそのようなものが持ち込まれることを想定するのは現実的ではありません。この件は、人々の楽しみを奪うような影響を及ぼさず、私たちは必要とされている行動を迅速に取ることができました」。
レースプログラムの調整も実施されるかもしれない。というのも、ウィンザーキャッスルS(L 2歳短距離戦)を最終日の第3競走として施行したことに批判があったからだ。
スミス氏はこう述べた。「ある程度の微調整が必要かもしれません。私たちはクイーンズヴァーズS(G2 3歳長距離戦)を、比較的静かな日に移したいと考えていました。馬場内の特別観覧エリア"ヴィレッジ・エンクロージャー"がオープンしていない日は、このレースの発走地点であるグランドスタンドの前が比較的静かでした」。
「クイーンズヴァーズSを動かしたので、ウィンザーキャッスルSを移動させるなど、いくつかの変更をしなければなりませんでした。今後レースプログラムを再検討するでしょうが、根拠に基づいて変更を行いたいと思っています」。
スミス氏は、サッカーワールドカップという手強いライバルの存在にもかかわらず、ITVの視聴率がまずまずだったロイヤルアスコット開催全体を振り返って、こう語った。「素晴らしい週だったと思います。競馬場で取られた措置は功を奏し、強力な海外馬の参戦もありました」。
「馬場状態は開催全体を通じて各馬に公平なものでした。私たちはそのことに一番満足しています。直線ではどの位置にいる馬にもチャンスがあり、ゲート順による不利は無かったようです」。
「わずかに散水が行われ、開催中の馬場状態は"やや重"に保たれていました。良好でスピードの出る馬場となり、調教師と騎手からの反応は良いものでした。結局のところ、すべては馬場から始まります。馬場取締委員のクリス・スティッケルズ(Chris Stickels)氏とそのチームは信頼に値する仕事をしました」。
By Peter Scargill
(1ポンド=約150円)
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[Racing Post 2018年6月25日「Delight as meeting continues to prosper on the world stage」]