最近米国ジョッキークラブが発表した2018年生産統計が示すように、繁殖牝馬と種牡馬の頭数は減少し続けている。本誌(ブラッドホース誌)は、この傾向が最高クラスの市場にどれだけ影響しているかについて調べた。
世紀の変わり目は"過剰生産"という長く続く懸念とともに訪れた。2000年の生産頭数は3万7,755頭で、ピークに達した1986年の5万1,286頭を大きく下回るが、1990年代後半よりも高い水準となっていた。2000年代前半にも生産頭数は徐々に増加し続けた。それは、とりわけ1歳セリのような商業的な市場において平均価格が上昇したからである(1歳セリ市場の平均価格は2003年と2004年に前年比10%以上増加)。
しかしその後、2008年に生じた世界金融危機のため市場の大幅な縮小は避けられなかった。2000年~2018年に、北米の生産頭数は43%減少、現役種牡馬頭数は64%減少、繁殖牝馬頭数は49%減少した。生産者たちは、経済的混乱を乗り越えたので、今後は価値の低い馬が市場を去って馬の質が全体的に向上し、プレミアム価格が作り出されることに望みをつないでいる。1歳セリを指標とすれば、今年の北米の全体的な平均価格は5年前よりも59%上昇して10万800ドル(約1,109万円)となっている。
生産頭数、種牡馬頭数、繁殖牝馬頭数が減少する一方で、種付頭数が多い人気種牡馬の間で変化は生じているのだろうか?それとも、価値の低いサラブレッドだけが淘汰され続けているのだろうか?手短に言えば、両方のことが起こっている。
種牡馬に関しては、種付頭数の多さから判断する"最も人気ある種牡馬"は、2000年から比較的安定して存在している。しかし、これらの種牡馬の種付頭数はかなり増加している。
2000年種付シーズンに、種付頭数が100頭以上に上った種牡馬は84頭だったと報告されている。これらの種牡馬に種付けされた牝馬9,773頭は、全ての種付牝馬6万4,337頭の15%を占めていた。一方、2018年種付シーズンに、種付頭数が100頭以上に上った種牡馬は93頭だった(2016年:101頭、2017年:91頭)。これらの種牡馬に種付けされた牝馬の頭数は1万3,177頭で、全ての種付牝馬3万2,508頭の41%を占めたことは注目に値する。
範囲を少し広げると、2018年の種付頭数が20頭以上だった種牡馬は388頭だが、これは2000年の886頭よりも56%も減少している。ただし、減少したこれらの種牡馬はより多くの牝馬に種付けを行っている。2018年にこれらの種牡馬は、全体で2万5,882頭の牝馬に種付けを行い、それは北米で種付けされた全ての牝馬の80%を占める。
By Eric Mitchell
(1ドル=約110円)
[bloodhorse.com 2019年10月7日「Market Contraction Affects Stallions at All Levels」]