英国政府は12月8日、2024年ではなく来年に競馬界の資金調達方法を再検討するだろうと発表した。これにより、競馬界の財政危機の軽減を目指す賦課金制度改革は一歩前進した。
政府が前向きな姿勢を示したというニュースは、競馬界全体で歓迎された。競馬界は新型コロナウイルスの世界的流行が引き起こした経済的打撃に立ち向かうために、英国競馬界の資金調達方法の改革を求めてきた。
BHA(英国競馬統括機構)のCEOニック・ラスト氏(12月末に退任予定)は、「競馬界は2021年に、デジタル・文化・メディア・スポーツ省(DCMS)の大臣や官僚とともに賦課金制度について取り組むことを楽しみにしています」と語った。
賦課金制度改革が最後に実施されたのは2017年である。当時、海外拠点のブックメーカーが発売する英国のレースの馬券も対象とするように、賦課金制度は拡大された。
この変更により、賦課金収入は過去3年間のうち2年間に、改革前のレベルよりも4,500万ポンド(約63億円)以上増加した。
しかし競馬界は、政府に対して賦課金制度の問題に立ち戻ることを要求している。今度は、海外のレースの馬券も対象とするさらなる改革を目指し、粗利益ではなく売得金をもとに課する制度に転換することで、賦課金収入は数千万ポンド増加するかもしれない。
2017年の賦課金制度改革が成立したとき、その後7年以内にスポーツ大臣に対して賦課率の検討を求める約束が含まれていた。それは将来の市場の変動を確実に反映するためである。
しかし、スポーツ大臣のナイジェル・ハドルストン氏は庶民院(下院)で"政府による賭事法の見直し"についての声明を出し、その後に行われた議論において「その取組みに賦課金制度が含まれていなくても、大臣たちは来年に賦課金制度についてふたたび検討するでしょう」と明らかにした。
ラスト氏はこう語った。「"DCMSは2021年に賦課金制度見直しのスケジュールを検討する"というスポーツ大臣からの発表を歓迎しています。競馬産業のリーダーたちは、私たちの新型コロナウイルスからの復活計画の一環として改革は緊急を要するということに合意しました。政府に対して統一戦線の形を取ってきました」。
「今日スポーツ大臣が庶民院で概略を述べたように、賦課金制度改革についてBHAと政府の間で継続中の会話があります。賦課金制度を持続可能でデジタル時代にふさわしいものにするために、2021年にDCMSの官僚たちや大臣たちとともに取り組むことを楽しみにしています」。
ラスト氏は、政府による賭事法の見直しを開始する16週間の"根拠に基づく情報提供の照会"の詳細を歓迎した。それは、賭事スポンサー・ギャンブル広告・購入力チェックのような競馬に影響を及ぼしている分野をカバーすることが予定されている
同氏はこう語った。「数百万もの人々が競馬賭事を安全に、また責任をもって楽しんでいます。ギャンブルの害の発生は少ないです」。
「それにもかかわらず、競馬界は責任ある賭事を促進しており、そのリスクをさらに下げるために賭事業界と協力して献身的に取り組んでいます」。
「私たちはまた、協議への回答を考案するために、賭事業界および競馬界のパートナーたちとともに密接に取り組んでいくでしょう」。
ラスト氏は、つり合いのとれていて、かつリスクに晒された人々に重点を置いた提案がなされることを、競馬界は楽しみにしていると述べ、こう付言した。
「英国競馬界とそれが支える8万人の生活に影響が及ぼされる可能性があることを政府は認識していると思います」。
「ハドルストン大臣はその発言の中で、スポーツ業界が経験している困難な状況と、スポーツと賭事業界の間の合法的な商業関係の重要性は、賦課金制度見直しの一環として検討されることを明らかにしました」。
By Bill Barber
(1ポンド=約140円)
[Racing Post 2020年12月8日「BHA welcomes government move to examine levy reform in 2021」]