ドバウィは輝かしい自己基準を上回るようなかなり優れた一年を過ごしたことにより、2023年に種付料35万ポンド(約5,775万円)で供用されることになった。
ダーレーは11月9日にこのニュースを発表した。今年英国・アイルランドのリーディングサイアーとなるドバウィは2017年から25万ポンド(約4,125万円)で供用されてきた。
つい最近、ジャドモントファームがフランケルの種付料を20万ポンド(約3,300万円)から27万5,000ポンド(約4,538万円)に引き上げたことを発表したばかりだった。
ドバウィは2022年に、クラシック勝馬3頭を含むブラックタイプ勝馬43頭(自己ベスト)を送り出した。またプラチナジュビリーS(G1)の6ハロン(約1200m)から英セントレジャーS(G1)の14½ハロン(約2900m)までの距離でG1馬7頭を送り出した。
さらにブリーダーズカップ開催(11月4日・5日)でBCマイル(G1)優勝馬モダンゲームズを送り出すなど、素晴らしい結果を出したばかりである。昨年と今年のこの大会でドバウィ産駒は5勝を果たしている。
長いあいだガリレオの脇役に甘んじ、昨年はガリレオ産駒のフランケルの二番手となったドバウィは今年、その実績に値するリーディングサイアーのタイトルを初めて獲得する。
ドバウィ(父ドバイミレニアム)は2歳時にナショナルS(G1)、3歳時に愛2000ギニー(G1)とジャックルマロワ賞(G1)を制したあとに引退し、ダーラムホールスタッド(ニューマーケット)において初年度種付料2万5,000ポンド(約413万円)で供用された。
順風満帆というわけではなかった。アイルランドにあるダーレーのキルダンガンスタッドで1シーズン過ごしたのちにダーラムホールに戻ると、2009年の種付料が1万5,000ポンド(約248万円)まで引き下げられたのだ。しかし少なくともこの10年間は着実に活躍し、世界で最も高額な種牡馬リストの頂点に君臨している。
ドバウィの最速の産駒であり、プラチナジュビリーS(ロイヤルアスコット開催)を制したネイヴァルクラウンはキルダンガンスタッドで種牡馬入りする。これにより今ではダーレーの種牡馬群のうち6頭がドバウィ産駒となる。
今年のプラチナジュビリーSを制したとき、ネイヴァルクラウンは11頭ものG1馬を下している。その中には、ハイフィールドプリンセス・キンロス・アルコールフリー・カンパネッレ・ミンザールがいた。ジュライカップ(G1)も先頭でゴールを駆け抜けたが、そのときにG1馬5頭を負かしている。
ネイヴァルクラウンは名高いコンヴィヴィアルメイドンで4½馬身差をつけて優勝し、未勝利を脱した。メイダンクラシック(L)を制してUAE最優秀3歳牡馬に輝き、今年もアルファヒディフォート(G2)でさらなる勝利を挙げた。
ネイヴァルクラウンは、ステークス勝馬カムアライブ(父ダンシリ 母リステッド勝馬ポートレイアル)の初仔である。初年度種付料は1万5,000ユーロ(約218万円)とされる。
今年はドバウィを父とする種牡馬も素晴らしい活躍をした。ナイトオブサンダーはドバウィの後継種牡馬としての地位をさらに強固なものにしている。
驚くべきことに、ナイトオブサンダーはちょうど同じ段階にあった頃のドバウィを凌ぐ成績を残している。初年度産駒の勝馬率が驚異的な22%に達しているのだ。その筆頭は、G1を3勝して欧州の最優秀短距離馬となったハイフィールドプリンセスである。
ナイトオブサンダーはセリでも高い評価を受けた。1歳の産駒の平均価格は23万6,000ユーロ(約3,422万円)となり、5頭が50万ユーロ(約7,250万円)を超える価格で取引された。ナイトオブサンダーは来年もキルダンガンスタッドで供用され、種付料は2022年の7万5,000ユーロ(約1,088万円)から10万ユーロ(約1,450万円)に引き上げられる。
ダーラムホールスタッドで供用されるもう1頭の新種牡馬は、駿足のパーフェクトパワーであり、1万5,000ポンド(約248万円)で供用される。
パーフェクトパワーは20年ぶりに3歳シーズンの6月までにG1スプリントを3勝した馬である。初勝利からわずか8日後にノーフォークS(G2 ロイヤルアスコット開催)を制し、その後モルニー賞(G1)とミドルパークS(G1)をダブル制覇した。今年もふたたびロイヤルアスコット開催で出走しコモンウェルスカップ(G1)で見事な勝利を収めた。
若い種牡馬、ブルーポイントとトゥーダーンホットの供用4年目の種付料は引き下げられる。これら2頭のファーストクロップは、ゴフス・オービーとタタソールズ・ブック1&2の両方において平均価格を上回った。
英ダービー(G1)優勝馬マサー(種付料は変更なし)のファーストクロップは、タタソールズ・ブック1&2で中間価格が最高となった。
ガイヤース・アースライト・ピナトゥボは競走引退後も強い支持を受けており、まもなく初年度産駒がセリに登場する。
ガイヤースとピナトゥボの2023年の種付料は据え置きとなるが、アースライトの種付料は引き下げられる。
クラックスマンの初年度産駒は今年デビューした。2年目の産駒は今年1歳となり、セリでの平均価格は初年度産駒よりも約40%高くなり、大方の予想を上回るものとなった。クラックスマンはこれまでにG2勝馬アロア(Aloa)を含む3頭のブラックタイプ勝馬を送り出しており、種付料は引き続き1万7,500ポンド(約289万円)とされる。
ハリーエンジェルも種牡馬としてのキャリアを素晴らしい形でスタートさせた。勝馬24頭(実頭数)とステークス勝馬4頭を送り出していることで、欧州で最高の若年種牡馬の地位に押し上げられている。種付料は1万2,000ポンド(約198万円)から魅力的な1万ポンド(約165万円)に引き下げられる。
リブチェスターは、最近注目を集めた重賞勝馬ファクトゥールシュヴァル(Facteur Cheval)を送り出し、フランスで大きな成功を収めた。供用5年目まではキルダンガンスタッドにいたが、ノルマンディーのロジ牧場の種牡馬群に加わることになる。
ダーレーの種牡馬担当部長であるサム・ブラード氏はこう語った「生産界においてリーディングサイアーのドバウィほどのビッグネームはいません。2022年に彼はさらにレベルを高めています。それを反映して種付料を引き上げたのは当然です」。
「同時に、種牡馬となった彼の産駒ナイトオブサンダーの人気が高まっていることにもすごく満足しています」。
「また、プラチナジュビリーSを制したドバウィ産駒ネイヴァルクラウンがキルダンガンスタッドに加わること、ダーラムホールスタッドにパーフェクトパワーが来ることも朗報ですね。生産者が夢中になれるような商業的に成功するだろう有望な2頭を供用することを誇りに思っています」。
「このリストを検討するにあたり、できるかぎり魅力的な価格を設定しようと努めました。今日の市場において、生産者の皆様がいかに困難な状況にあるかを知っているからです」。
By Kitty Trice
(1ポンド=約165円、1ユーロ=約145円)
[Racing Post 2022年11月9日「'There's no bigger name in the business' - Dubawi goes to career-high £350,000」]