BHA（英国競馬統括機構）のジョー・ソーマレズ-スミス現会長の後任として、アレン卿（Lord Allen）が次期会長に就任することが確定した。以前の政治家仲間はアレン卿が"新たな息吹"をもたらすことを期待している。

　アレン卿（67歳）はシティ（英国財界）のベテランで、ITVのCEOを務めたこともある。金融および商業部門、政界、放送業界、国際企業、世界的なスポーツイベントで経験を積んだ。

　現在グローバル（欧州最大の商業ラジオグループ）の会長を務めているが、2025年3月に退任予定である。ちなみに、グローバルは一流馬主マイケル・テイバー氏の子息、アシュリー・テイバー-キング氏が創設した企業である。また、アレン卿は国際的なインフラ企業バルフォア・ビーティ（Balfour Beatty）とEコマース小売企業THGの会長でもあり、グローバル投資銀行のモーリス＆カンパニーの顧問会長でもある。

　さらに2012年ロンドン五輪の招致を監督し、組織委員会の理事も務めた。

　2006年から2008年までにかけては内務省の首席顧問となり、2012年にはエド・ミリバンド氏（元労働党党首）により労働党の理事会議長に任命された。翌年、ケンジントン男爵の称号を授けられ、労働党の終身の貴族院議員となった。

　アレン卿はこう述べた。「BHAにとって重要なこの時期に会長に任命されたことを光栄に思います。新たなCEOや理事会、そしてすべての利害関係者と強固な関係を築き、この業界の商業面を強化し評判を高めるというビジョンを実現することを楽しみにしています」。

　「馬を愛するようになったのは、若い頃に乗馬を習い、長年競馬を楽しんできたからです。願わくは、メディアやエンターテインメント業界などさまざまな部門で得た知識・スキル・経験や、多くの規制機関やスポーツ機関を率いてきた経験が、この素晴らしいスポーツに新鮮な視点をもたらすのに大いに役立つことを望んでいます」。

　アレン卿は来年の6月1日にBHA会長に就任する。今後数ヵ月間はスムーズな引継ぎを確実にするために、ソーマレズ-スミス氏と緊密に取り組んでいくだろう。

　またCEOジュリー・ハリントン氏が年末に退任予定であることから、アレン卿は次期CEOの採用プロセスの後期段階に関与するとみられている。

　BHAの指名委員会の委員長を務めるデヴィッド・ジョーンズ上席独立理事は、"傑出した資質の持ち主"を会長に任命できたことを嬉しく思うと述べ、こう続けた。

　「アレン卿の経歴そのものがすべてを物語っています。驚くべきリーダーシップ、財務と商業に関する鋭い洞察力、放送業界での経験、そして政府に対する理解は、BHAの取組みに新鮮で独立した視点をもたらすでしょう」。

　「アレン卿は国際的なスポーツイベントにおける豊富な経験に加え、競馬界が直面する課題を敏感に把握していることで、指名委員会を感心させました。競馬界の力強い擁護者になるでしょう」。

　馬主協会（ROA）のチャーリー・パーカー会長と競馬場協会（RCA）のウィルフ・ウォルシュ会長も指名委員会のメンバーである。

　彼らは共同声明でこう述べている。「私たちは関係者を代表して、次期BHA会長を徹底的に探索しました。チャールズ・アレン氏を確保できたことを嬉しく思います。彼は優れたビジネスキャリアを積み、国際的なスポーツイベントを成功に導いた経験をBHAにもたらすでしょう」。

　「アレン氏のビジネス感覚だけでなく政界での経験は大きな資産になります。BHAは、競馬というスポーツそのものと競馬界の一連の緊急課題、とりわけ資金調達について新政府と連携しています」。

　賭事・ゲーミング協議会（Betting and Gaming Council）の議長であるマイケル・ダガー氏は、アレン卿に祝辞を述べた。「数年前にチャールズが労働党に関わっているときに知り合い、一緒に働きました。競馬界とBHAに外部の人を迎え入れることは賢明な措置であり、新たな息吹になることを期待しています」。

　「競馬界は俯瞰的な視点を渇望しています。この業界には基本的な事実を否定する人が多すぎます。このスポーツを心から愛する私たちは全員、競馬界を団結させ、現在の低迷を逆転させるよう努めるべきです。競馬界が直面するとてつもなく大きな課題を否定することも、なんらかの即効性のある解決策があると考えることも意味がありません」。

　「チャールズはすぐに理解すると確信しています。個人的には、賭事について緊密に取り組んでくれることを期待しています。競馬のマーケティングを改善し、競馬を成長させ、21世紀にふさわしいものにするために競馬を根本的に改革するという共通の課題があります。その推進には、メンバーたちを説得する必要がありますが、競馬界にどれだけの特権が残っているかを考えると、かなり困難な仕事になります」。