今年の夏に札幌で開催されるアジア競馬会議(Asian Racing Conference:ARC)には世界中の競馬界のリーダーたちが一堂に会し、いつもどおり世界共通の重要な問題について話し合うだろう。しかし、ホスト国である日本は生産界の内情を紹介することも心待ちにしている。
これにより日本の生産プログラムはいっそう注目されることになり、つねに重要な国際的会合であるARCにさらなる魅力が加えられることになるはずだ。日本の生産界は近年、米国やドバイの世界最高峰の競馬祭典で優勝馬を送り出し、イクイノックスがワールドベストレースホースに輝いているのだ。
ARC札幌大会組織委員会とJRA(日本中央競馬会)は2月9日、2024年ARC(8月27日~9月1日 札幌で開催)の概要を発表した。日本の生産プログラムに関するプレゼンが予定されているのに加えて、地の利を生かしノーザンファームや社台スタリオンステーションなどのエリート牧場を訪問する機会が提供される。
JRAの吉田正義理事長はこの発表において、大会テーマ『Be Connected, Stride Together(つながろう、ともに歩もう)』を掲げるARCについてこう語った。「今年の開催地となる北海道は、人と馬のつながりが深く感じられる場所です。この地の開拓の歴史において馬は重要な役割を果たしました。現在、日本が世界に誇るサラブレッドの約98%は北海道で生まれており、優れた馬を生産する拠点となっているのです」。
アジア競馬連盟(ARF)はアジア・オセアニア・アフリカ・中東の28ヵ国の競馬統括機関と競馬関連団体で構成される地域グループである。競馬界全体にとって重要なトピックが取り上げられるアジア競馬会議(ARC)には、これらの機関や団体の代表者を中心に多くの関係者が参加する。。
ARFのウィンフリート・エンゲルブレヒト⁼ブレスゲス会長も2024年ARCについて発表する際に、競馬と生産がまさに最盛期を迎えている日本を訪れることができるチャンスについて指摘した。
「日本の国際舞台における実績には、生産から競走にいたるまで目を見張るようなものがあります。JRAと協力し、ワクワクするような第40回ARCプログラムを企画しました。このプログラムは、世界レベルの競走馬を生産して出走させるために注がれる献身的な努力・ケア・プロ意識を目の当たりする絶好の機会となるでしょう」。
ARCは8月27日に開幕する。この日は札幌コンベンションセンターで競走馬のアフターケアのための国際フォーラム(IFAR)が開催され、グランドメルキュール札幌大通公園(旧 ロイトン札幌)で開会式が行われる。重要なイベントに成長しているIFARは、引退競走馬の生涯にわたるケアを提唱し、その重大な責任について世界中の競馬界の意識を高め、サラブレッドの多用途性について馬スポーツ界の認識を高めるために創設された独立フォーラムである。
8月28日~30日に「ビジネスプログラム」がコンベンションセンターで開催され、毎晩特別イベントが予定されており、札幌ドームでの集いなどが催される。JRA国際部の橋本知晃調査役によると、ビジネスプログラムの初日(8月28日)にはファンエンゲージメント(ファンとの強固な関係性)と文化などに焦点が当てられるという。また2日目(8月29日)には、賭事および賭事の公正確保について、そして馬の福祉問題についてのプレゼンが行われる。さらに3日目(8月30日)のプログラムは、開催地のロケーションにちなんで生産分野の課題を取り上げる見込み。
橋本氏は、「主な焦点は生産に関するセッションとなるでしょう。イクイノックスがベストレースホースに輝いた年の夏に日本でARCを開催できるのは、とても幸運なことです」と語った。
ビジネスプログラムは8月30日(金)に終了するが、8月31日(土)には札幌競馬場で競馬開催があり、9月1日(日)には社台スタリオンステーション、ノーザンファーム、ノーザンホースパークの訪問が予定されている。ノーザンホースパークの訪問では、セカンドキャリアに向けて調教されるサラブレッドのための"競走引退後プログラム"がハイライトとなるだろう。
By Frank Angst
[bloodhorse.com 2024年2月9日「Japan to Highlight Breeding at Asian Racing Conference」]