今月米国からもたらされた魅力的なニュースを聞き逃していたとしても、許されるだろう。
ダブリンレーシングフェスティバル(2月3日&4日)でウィリー・マリンズ調教師が完勝し、悪天候が競馬開催を消し去り、アフォーダビリティチェック(経済力チェック)が競馬というスポーツ全体を破滅させる脅威となっている中で、ほかのことを考えるヒマはほとんどなかったのだ。
だからケンタッキーダービー(G1)の枠順抽選会が前倒しされたことを知らない人も多いと思う。もし手帳に記しておきたいのであれば、今年の枠順抽選会は4月27日(土)の予定だ。
ケンタッキーダービーの枠順発表は2021年までレース開催週の火曜日だった。2022年と2023年は月曜日となり、今年の枠順発表は馬が抽選結果どおりにゲートインする7日前、すなわち前週の土曜日になる。
チャーチルダウンズ競馬場のスポークスマン、ダレン・ロジャーズ氏はこう語った。「馬券購入者が早く情報を手にすればするほど、たくさん勝馬予想をしてくれるものだと、私たちはつねに信じてきました。ここ数年、とりわけ過去2年間の馬券売上げは素晴らしいものでした」。
米国は英国とは違う国であり、ケンタッキーダービーは英2000ギニー(G1)とは違う(訳注:いずれも三冠の一冠目のレース)。英国とは違い春の気候が安定している国のダート競走で馬を走らせるということは、事前に出走計画をかなり立てやすいことを意味している。
過酷な予選プロセスの末にたどり着き、さまざまな馬主や調教師が競い合う三冠の一冠目のレースには、誰もが参戦したいものである。普通は、数ある大きな希望のうちフランスあるいはアイルランドのクラシック競走のどちらかに託すかを土壇場まで迷うことはしないだろう。だから英国クラシック競走については出馬投票が6日前に行われるようなことはなく、それにより興奮が生み出されるようなこともまずない。
もっとも、何が起こっているかを明確に理解するロジャーズ氏のような競馬関係者が英国にもいてもいいのだが...。ロジャーズ氏の言葉は、競馬が生き残りをかけて闘っていること、馬券売上げを増加させるために全力を尽くす必要があることを知ったうえで投げかけられたものだ。馬券購入者にこれまでよりも2日早く重要な情報を提供できるのであれば、実行すべきである。米国では抽選会を見せるために一般の人々も招き入れている。
英国で権力のある立場の誰かが、このメッセージを理解したという証しでもあれば嬉しいのだが。めぼしいデータ(誰が馬体重を測ってくれるのだ?)を集め、無料で広く共有することの方が、馬券購入活動をプレミアム開催の午後2時から4時という時間枠に閉じ込めてしまうよりも、馬券購入者に馬券を買ってもらうことにつながるのだ。
By David Carr
[Racing Post 2024年2月11日「The US shows the way forward - displaying key data and displaying it early is what will get punters betting」]