セリ会社のアルカナ社は、オードゥラデピスト(Au-Dela des Pistes:ADDP)を継続的に支援するために年間総売上額の一定割合を寄付することを約束した。ADDPは、引退競走馬のアフターケアと再調教を行うフランス最大の組織である。
アルカナ社は、ドーヴィルで開催されるセリとオンラインセールの総売上額の0.015%を寄付する。2023年の寄付額は3万1,000ユーロ(約527万円)にのぼるだろう。これは米国と豪州で運用されている同様のモデルに倣ったものである。
アルカナ社はすでに"凱旋門賞プロミス(Arc Promise)"というスキームを通じてADDPに寄付を行っている。これは凱旋門賞ウィークエンドで獲得した賞金から自発的に寄付を行うように、馬主・調教師・騎手・生産者に呼びかけるものである。アルカナ社は今後も凱旋門賞ウィークエンドに同社で取引された馬が勝利するごとに1,000ユーロ(約17万円)を寄付し続ける。
アルカナ社のオリヴィエ・ドロワ会長はこう語った。「アルカナ社はADDPの創設当初からさまざまな方法でサポートしてきました。それは、レースキャリアを終えた馬に素晴らしいセカンドライフを提供する責任はセリ会社にもあると考えているからです」。
「ADDPはサラブレッドの再調教の分野において、有効かつ徳の高い取組みを主導しています。ADDPがさらに多くの馬を認定施設に送り込めるよう支援を強化したいと、私たちは考えていました。そのため、毎年のセリ取引の量に応じて提供する資金を指数化するのは当然のことでしょう」。
フランスギャロがADDPとパートナーシップを締結した2019年に、ドロワ氏はフランスギャロの事務総長をつとめていた。そのとき、フランス各地の再調教やアフターケアを行う施設を探して認定するすべての責任をADDPに託し、年間の資金提供額は12万5,000ユーロ(約2,125万円)にのぼった。
米国ではキーンランド協会とファシグ・ティプトン社が購買者から0.05%を徴収しており、さらに落札価格の0.05%をサラブレッド・アフターケア同盟(Thoroughbred Aftercare Alliance:TAA)に寄付している。
ADDPは年間を通じて、フランスの競馬場や馬術イベントで存在感を高めている。6月2日(日)の仏ダービー(G1 ジョッケクルブ賞)開催日には、ADDPのアンバサダーであるシリュスデゼーグルがシャンティイでパレードを行った。
さらにADDPは、フランスの競馬産業と生産界のすべての関係者に訴えかけるようなメディアキャンペーンを通じて収入を急増させるという壮大な計画を持っている。
ADDPの会長を務めるモンテギュ牧場のアリエット・フォリアン氏はこう語った。「ADDPを代表して、オリヴィエ・ドロワ氏とアルカナ社の理事会が競走馬のセカンドライフを支援するための永続的なコミットメントを表明してくださったことに感謝したいと思います」。
「アルカナ社はこの業界にとって大きな経済的支柱のひとつです。今回のアルカナ社の行動は、競馬に携わるすべての人々に対し、"引退競走馬の再調教について責任がある"という強力なメッセージを送っていると考えます」。
「仕組みという点では、莫大な総売上額からたとえわずかな割合でも自発的に提供するということは、実に徳の高いことのように思えます。いくつかの国はすでに、持続可能な方法で再調教へ資金を調達するために、さまざまな産業から多くの収入源を確保しています」。
「同じような方法で、私たちはフランスギャロと共同で大規模なマーケティングキャンペーンを開始する予定です。これはすべての競馬関係者に、毎月賞金から自動的に差し引かれるかたちでADDPに寄付をすることを奨励します」。
「米国ジョッキークラブのジム・ギャグリアーノ会長の『レースキャリアを通じて競走馬に接するすべての人は、そのアフターケアに貢献しなければならない』という言葉に、私たちは心から共鳴しています」。
「スポーツの世界がフランスに注目しているオリンピックの年に、競走馬のアフターケアはこれまで以上に私たち全員に課せられた責任です。私たちがこの課題に一丸となって取り組まなければ、世論は私たちを許さないでしょう」。
ADDPについての詳細はこちらをご覧ください。
By Scott Burton
(1ユーロ=約170円)
[Racing Post 2024年6月4日「Arqana signs historic deal to support retraining and aftercare efforts of Au-Dela des Pistes」]