海外競馬情報 2025年04月24日 - No.16 - 1
両ギニー競走への登竜門競走が統合され、関係者の不満が爆発(フランス) 【開催・運営】

 フランスギャロ(France Galop)のエドゥアール・ド・ロートシルト(Edouard de Rothschild)前会長は、フランスギャロが4月17日(木)にパリロンシャン競馬場で行われる2つの重要な条件戦を統合するという「考えられない 」決定を下したと、現体制を非難した。しかし、彼の後任者たちは、この決定は「経済的な現実」に基づいていると擁護している。

 フランスギャロは今年1月1日に改正ルール(第51条)を導入した。それは、最終段階の出馬投票において十分な出走頭数を確保できない同条件の牡馬・せん馬限定レースと牝馬限定レースを1つのレースとして実施することを要求するものだ。

 このルールは、出走頭数が8頭に満たない「不本意なレース」が賭事的な関心を低下させ、競馬というスポーツの経済性を損なうことを防ぐための措置である。

 4月14日(月)に牝馬限定レースのルーヴル賞(Prix du Louvre)と牡馬・せん馬レースのマチャド賞(Prix Machado)を統合する決定がなされた。この統合をめぐる論争は、両レースがどちらもパターンレースには含まれないものの、近年、仏1000ギニー(G1)や2000ギニー(G1)の有力な前哨戦として台頭していることから起こった。

 2024年はルーヴル賞3着馬のルーイヤ(Rouhiya)が仏1000ギニーを制し、2021年にはブレッツイーグル(Breizh Eagle)がマチャド賞を制した後、仏2000ギニーでセントマークスバシリカの3着に入った。

 4月13日(日)に行われたフォンテーヌブロー賞(G3、牡馬・せん馬限定)およびグロット賞(G3、牝馬限定)のような重賞レース同士の場合、第51条は適用されない。とはいっても、これらの競走にはそもそも多くの出走馬が集まっていたようだ。

 この統合されたレースに、アンドレ・ファーブル調教師の管理する牝馬レーヌドゥメディシス(Reine De Medicis)がロートシルト氏の服色を背負って出走する予定だが、ロートシルト氏の批判は第51条の本レースへの具体的な適用にとどまるものではなく、馬の品種選抜のために設定された特定のレースを擁護する立場からの発言だった。

 2023年12月に4期で会長の座を退いたロートシルト氏は次のように語った。「フランスギャロの中枢には、もはやホースマンや競馬を理解している者はおらず、管理者しかいません」

 「財政と品種選抜の間に緊張関係が存在することはよく理解していますが、すべては各ケースをその価値を踏まえてどのように処理するかという技量にかかっているのです。この2つのレースを、これだけの短時間の告知で統合させてしまうのは考えられないことです」。

 新たに再編成されたルーヴル賞には10頭が出走する。予定されていた5頭の牡馬とせん馬は全頭出走することになったが、出走が見込まれていた牝馬8頭のうち3頭はレースへの出走を回避した。

 フランシス・グラファール調教師はウルトラフラゴラ(Ultrafragola)を出走させるつもりだが、彼はパリチュルフ紙に対して、この決定はフランスギャロが「非常に悪い方向」に向かっていることを示唆していると語った。

 ヴィクトリア・ヘッド調教師は、このレースで、サートミーセン(Sir Tommy Cen、牡)を同厩のピンキーセン(Pinky Cen、牝)と対戦させることを選択した。両頭とも馬主のイェガーダ・センチュリオン(Yeguada Centurion)氏の所有馬であるが、同調教師は2カ月前から2頭は別々のレースとして狙いを定めていたのだと指摘した。

 フランスギャロのアンリ・プレ(Henri Pouret)副事務総長とピエール・ラペルドリ(Pierre Laperidrix)平地競走番組長は、ジュール・ド・ギャロ紙(Jour de Galop)のインタビューの中で、「フランス競馬はもはや、調教師が少頭数の条件戦を好むからと言う理由でパターンレース以下の競走を保護する余裕はない」と主張し、この措置を擁護した。

 両者は次のように述べている。「第51条が適用されない唯一のケースは、主要競走(重賞競走)とフランスギャロが賞金を全額提供しないレースです。ルーヴル賞とマチャド賞はその条件に当てはまりません」

 「私たちはこの措置が呼び起こす感情について理解していますが、経済的な現実もあります。このレベルのレースで5頭しか出走しないのでは、とても採算がとれません。このレースが両ギニー競走への登竜門になるという考えと、経済的な現実を切り離すことは私たちにはできません」。

 フランスギャロは、PMU(フランス場外馬券発売公社)からの発売収入の減少により、2025年には1,500万ユーロ(約24億1,500万円)の赤字となる見込みである。

By Scott Burton

(1ユーロ=約160円)

[Racing Post 2025年4月16日
「'There are no racing people left at France Galop' - former president hits out as French Classic prep races are combined」]