海外競馬情報 2025年01月30日 - No.4 - 2
見事な2頭がワールドベストレースホースとなるも低レーティング化の懸念(国際)【その他】

 ロンジン・ワールドベストレースホース・ランキングのトップが同レーティングとなった前回と同じように、直近12ヵ月は記憶に残る一年ではなかったという空気が流れている。

 2019年のランキング最上位はクリスタルオーシャン、エネイブル、ヴァルトガイストの3強に分かれ、いずれもレーティング128を獲得。これは2024年トップに立ったシティオブトロイとローレルリバーに与えられたレーティングと同じだ。

 この5頭はいずれもトップクラスの実力馬で、その偉大な功績は称えられるべきだが、仮にレーティング140を獲得したフランケルやフライトラインといった飛び抜けたスターホースと年代を超えて対戦することがあれば何馬身も離されるだろう。

 実際、昨年のトップ128というレーティングは格付制度(クラシフィケーション)が開始された1977年以来、トップの数字としては最下位タイであり、2002年にトップとなったロックオブジブラルタルと並ぶことになる。

 ただし、トップ10のうち7頭は現役続行を予定しており、ローレルリバーが史上最高獲得賞金馬でもある香港のロマンチックウォリアーと激突する場面が中東の湾岸諸国で何度か見られるかもしれない。また、カランダガン、ゴリアット、フィアースネス、シエラレオネ、そしてヴィアシスティーナらがどこかで対戦する可能性があり、今後数ヶ月の間にレーティングを押し上げることも想定される。その下にはフォーエバーヤング、カーインライジング、次世代の3歳馬などこれから上昇する余地の大きい実力馬が揃っている。

 しかし、気になるのは、レーティング115以上の馬が再び減少していることだ。

 レーティング115以上の馬が292頭から273頭に減少したのには、よりシビアなハンデや単純な不作などさまざまな要因が考えられる。この数字は、新型コロナウイルスの影響を受けレース数や国際競走が少なかった2020年を除けば、10年間にわたって300頭をはるかに超えていた数字から減少し続けているのだ。

 馬の数が減れば、良血馬の数も減ることになる。ほとんどの地域で生産頭数が大きく減少しているが、主要な生産地域の2つである北米とオーストラリアでこのトレンドが非常に顕著である。

 この問題に対する対応は難しく現実的に変更するのは困難だが、問題の存在自体は認識し続けなければならない。

 日本とドイツを除けば、商業主義が横行する中で自国の繁殖産業の質を維持しようとする意欲やリーダーシップを発揮している国はほとんどない。

 世界中には多くの偉大な生産者が存在し、その厳格な手法によってレーティング140の馬が現れる可能性は常にある。しかし、厳選された種牡馬への種付けの集中や両極化した市場、危険なレベルの近親交配は、警告灯としてますます明るく点滅している。

By Tom Peacock

[racingpost.com 2025年1月21日「Magnificent pair head rankings in a far from vintage year with decrease in higher-rated horses a cause for concern」]